近所の友達グループなら離れた俺が、最初に仲間になったのは、これまた近所の幼馴染、"やすし"(アダ名)だった。
やすしはかなり大人しい少年だった。
俺の家の近くに住んでいて、幼稚園の頃から知ってはいたが、その性格からか、俺は遊んだ事がなかった。
俺もあまり人付き合いが得意な方ではなかったが、やすしは俺に輪をかけて物静かな少年だった。
よく彼の家に遊びに行くと、やすしの部屋に通された。
やすしは俺を一瞥し、「…おー、来たか?」というだけで、読み古した漫画を読ませてくれた。
そして、二人で静かに漫画を読む。
そんな不思議な遊び方(?)をした。
なんで、遊ぶようになったかは、もう忘れた。
やすしは終始無言だった。無口が彼には楽なようだった。
近所の仲間との関係に疲れていた俺も、そんなやすしの態度が丁度良かったのかもしれない。
そんなやすしが唯一、怒る事があった。
それは、レゴだ。
やすしはレゴをたくさん持っていて、それを箱の絵の通りに部屋に飾っていた。
貧乏だった俺には羨ましい話だった。
当然、俺はそれを崩して遊ぼうとすると、やすしは怒り出した。
「なんで、組み立てたのに壊すんだよー」と口を尖らせた。
やすしの中でレゴは『箱の絵の通りに組み立てる物』と位置付けられているらしい。
レゴの持ち主はやすしである。
彼が持ち主である以上、やすしに従わなくてはいけない。
だから、俺はやすしと二人、組上がったレゴを見つめるという、これまた不思議なレゴの見方をしていた。
【続く】