鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学26 リアルファイトへの"誘い"

ブラック企業に勤めていた際、ある後輩が出来た。

小松(仮名)というこの後輩。
先輩の俺には慇懃な態度を取っていたが、実際は俺を小馬鹿にし、下に見ているとんでもない後輩だった。

今でも頭に来る奴だったが、そんな小松が毛嫌いしていた物があった。

それは、麻雀🀄である。

その頃、俺は帰りにスーパー銭湯に立ち寄り、入浴後、そこのゲームコーナーでネット麻雀をするのが、唯一の息抜きだった。

その事を、一緒に働いていた小松(研修中)に話すと、何故か、キレられた。

「麻雀? あんなもの、何が楽しいんすか?」

彼は「麻雀をする人間は人生の時間を無駄にしている」とまで言い切り怒った。
(そんな小松はスロットなどのギャンブルはしていた…)

何故、そこまで怒る?

小松の言い分をまとめると、

『麻雀はルールが複雑だ。だから、覚えるまでに時間がかかる。それが無駄だ』

『麻雀にはスポーツのような審判がいない。だから、不公平が生まれる。それが無駄だ』

『麻雀は勝てるようになるまでに時間がかかる。すでに上級者がいる。それが狡い。だから無駄だ』

…恐ろしく自分勝手な言い分だ。
俺は特に麻雀好きではないが、この言い分には驚いた。
(ネット麻雀をしていたのはたまたま。今はあんまりしてない)

小松の話から分かったのは、彼がうっすらではあるが、麻雀というゲームを知っていて、やった事があるようだったことだ。

彼の本音は、『俺は麻雀が弱い。麻雀すると負けるから嫌い』だろう。

そんな彼は、俺と同じ"プロレスファン"であり、特に海外のプロレス、WWEを好んでいた。

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小松らしいな、と思った。

何度も書くが、プロレスの結末はあらかじめ決まっている。
レスラーらはその決められた結末に向かい、技を繰り出し、観客を興奮させ、勝者と敗者を"演じる"。
実際にプロレスには勝者もなければ、敗者もない。その役割(ジョブ)を演じているに過ぎない。
だから、実際の身体的な優劣や、格闘技的な技術、強さは必要としない。
レスラーの技は、突き詰めれば観客の興奮を引き出す為にあり、寧ろ、対戦相手を怪我させてはならないのだ。

プロレスの範疇にある限り、"真の実力"や"リアルな決着"は要らない。
自分が"勝ち役"なら相手の力に関係なく、対外的には勝者である。
しかし、プロレスの"外"にあるリアルファイト(MMA)は違う。"真の実力"が必要になる。

また、それ以外にその時のコンディション、状況、メンタル、運…。
何がどうなるのか、分からないのがリアルファイトだ。
だから、絶対負けないはずが、実際にはボロ負け、なんて事が起きたりする。

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それがリアルだ。
仕方がない。真剣勝負なのだから、こういう事もある。
強者が必ず勝者にはならないのが、リアルファイト(真剣勝負)だ。

リアルファイト(MMA)のリングに立ったら、少なからず自分の敗退を予期しなければならない。
まだ自分が勝者になるとも、敗者になるとも分からないからだ。

だが、敗者になることを受け入れられない小松は、自身のみが勝敗であり続けたいと思っている。

彼にとって社会、組織、会社は自分の力を示す場所でしかないのだ。
そこで勝者でいることを第1に思考する。

だから、小松は俺の些細なミスを上司にチクたり、足を引っ張ったり、部長にゴマをすったりと、"プロレス"しまくっていた。

…俺から見れば、小松と俺に社員としての差はそれ程無く、むしろ、俺の方が上だと思った。(負け惜しみ?)

だが、仕事以外のところで"点数"を稼ぎまくる小松は、明らかに俺より"上"の"レスラー"である。

小松は、自分が"勝てる範囲"を理解していて、そこからは絶対に出てこない。

『無所属少年』(別フォルダ)の幼なじみ"ミッチー"と一緒だ。
自分の勝てる事(勝てる相手)としか戦わない。

「卑怯者!」と罵倒したいところだが、小松からすれば、『自分が勝てる範囲で勝ちを拾っているだけ。…何が悪い?』という感覚だろう。

だから、小松は自分が苦手で"範囲外"にあり、勝敗が決まっていない"真剣勝負"である麻雀🀄が嫌いなのだ。

からしたら、麻雀は『自身が負けるかもしれない真剣勝負』への"誘い"だ。

他人に負けたくない小松には、『悪夢の始まり』なのだろう。

小松からしたら、麻雀は"リアルファイト✊"であり、自分の勝利は約束されてはいない。
相手が何をしてくるのか、分からない。

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卑怯で、臆病な小松が"リアルファイト"をするはずがない。
自分の勝利が決まっている"プロレス"しかしたがらない。

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長州力と同じだ。

他人(俺)の"噛ませ犬"になることは嫌だが、自分は誰かを"噛ませ犬"にしたい。

そして、自分は常に勝者だ。


小松とは散々やり合ったなぁ。

小松も俺を舐めていて文句を言われたが、俺も文句を言ってやった。

だが、俺が退職するまで社内の"格"は小松が上だった。
小松は卑怯で、用意周到で、如才がなく、部長らに可愛がられていた。

からしたら唾棄したい人間ではあるが、"プロレス"という部分では小松が数段上であり、
また、同じプロレス好き(俺はU系団体)なら、俺も基本的には小松と変わらないのかもしれない。
(俺はチクったりしないが…)

とにかく頭に来る奴だった。

しかし、奇妙なほど俺になついてきて、俺が別のエリアに移動したら遊びに来たりしていた。

そういう辺りが、コイツも"自己ユーティリティ"の高い人間だと思えた。
(振り返ってみたら…)

…よく理解出来ない奴だった。

二度と会いたくないなぁ。出合ったらキンシャサ(旧ボマイェ)喰らわしてやる!