鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学65 想定外とベストバウト

ここ数年、我が家にやたらとプロバイダーの"セール電話"が頻繁に来る。
俺は昼間、自宅にはいないので分からないのだが、両親が言うには断ってもまた別の会社から勧誘の電話が来て、きりがないと言う。

インターネットなど全く使わない両親にとっては"プロバイダー"などと言われてさっぱり意味が分からない。
「息子に聞いて!」と怒りながら断ると、俺が帰宅してから、またかけてくるセールスマンがいる。

俺は、こういう"セールス電話"の撃退法を会得している。

2つある。
一つは『携帯料金の減額』だ。

「…じゃ、携帯料金、安くしてくれよ」と言うのだ。

これはまず無理だ。

携帯電話の大手キャリアでは電話通信と携帯を込みにする事で、携帯料金が減額するサービスがある。
大手キャリアのプロバイダーでないとこのサービスはまずない。
そして、大手キャリアが個人宅にセールス電話を掛ける事はあり得ない。

セ「…それは無理なんですが、それに相当するサービスが受けらますよ(笑)」と、必ず"代替サービス"を提案してくる。

だが、ここで

「いや、だからさー、携帯料金を安く出来ないの?」

とゴネる。
これは無理である。携帯会社でない限り、携帯料金が減るサービスはまず無理。
だから、その"無理"を主張する。
代替サービスなど絶対に受けない。
強固に"携帯料金減額"を主張するのだ。

この時点でセールスマンは(コイツ、面倒臭いな)と思うはずだ。
(ここは"脈"は無いな)と思わせたら、向こうから電話を切ってくる。

2つ目は、『サービスの否定』だ。

セールスマンは契約してもらいたくて、様々なサービスが有ることを告げてくる。
それをとりあえず聞く。

そして、

「いや~、これは確かにお得ですねぇ。でもやめておきます♪」

と比較的明るく言うのだ。
セールスマンは驚く。お得であるにも関わらず、契約しない、というからだ。

「え? 何故ですか?」と聞いてくる。

俺「確かにお得なんだけどね。ま、やめておくよ。…何か問題でも?」
セ「…いや、今ならさらにお得な…」
俺「得なのは分かったよ」
セ「でしたら…」
俺「でも別にお得だからって、契約しないといけない理由はないだろ?」
セ「……」
俺「お得だと、必ずプロバイダーを変えないいけない法律とかあんの?」

ここまで言われると、セールスマンは嫌になる。
そんな法律はない。これは"セールス電話"なのだ。強制力はない。
セールスマンからしたら、「うるせぇ。馬鹿野郎!」なのだが、あくまで『セールスマンとお客様』という関係であるのでそれは絶対に言えない。

『お得』、『便利』、『お安く』、『割引』、『無料』。

その言葉の"奥"にあるのは、"利益(お金)"である。
『利益(お金)が欲しい』
それを否定する事は難しい。
誰もが"利益(お金)"が欲しい。俺だって欲しい。

セールスマンはそれを前提に話をしてくる。
『お金(利益)が欲しい』

『これはあなたが利益(お金)を得るお話です』

『ならば、私の話を聴くしかないですね?』

『ならば、契約しても構わないですよね』

そういう"理論"である。
そこでその論拠である『利益の教授』を拒否されたら、そもそもセールス自体ができなくなる。前提が崩れてしまうのだ。

「利益(お金)を得たいのだろ?」という理論は俺が勤めていた"ブラック企業"がよく使う理論だ。

それにより、あらゆる"理不尽"を可能にする。

だから、その利益の受領を断られたら、もう何も出来ない。

セ「何ですか?」
俺「…別に。あなたのサービスがお得なのはよく分かったけど、それに従いたくないんだよ。他人に指図されたくないんだよ」

セールスマンの本心からしたら、(勝手にしろ、馬鹿野郎!)である。
もちろん言えない。
セールスマンとは辛いものである。


『利益(お金)が欲しい』
俺もそうなら、他人もそうだろう。

それは大きな"思い込み"だ。

誰しもがお金(利益)を得たがるはず、という事は思い込みだ。
そう思い込むから、「別に要らない」と言われると困る。それを前提に働いたり、生活していると、どうして良いか、分からない。

"想定外"というやつだ。

お金(利益、お得)が要らない人間などいるわけなない。
それが居るから、困る。怒る。関わりになりたがらない。


スポーツにとっての"利益"は"勝利"だ。
相手に勝つことが、スポーツの"前提"である。

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たが、プロレスは違う。
プロレスの勝敗は試合が始まり前から決まっている。
レスラーは二人で技を繰り出し、観客の興奮を引き出すのが目的だ。

勝利を前提としていない。(オープンしてないが…)

プロレスの見方として、『○○! 頑張って!』はおかしい。
頑張ろうが、失敗しようが、勝敗は関係ないからだ。

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正しくは、
「面白い試合をして!」
である。

要するに"ベストバウト"への期待だ。

何を以て"利益"とするかは、人によって違う。
お金(利益)は多くの人にとって、一番"分かり易く"、"想定"しやすい基準だろう。

勝敗を競わないスポーツ競技はなく、スポーツ競技はすべからず、勝者と敗者を生む。
皆が勝利を求め、勝者になるために頑張る。

だがら、それを否定されると困る。

何を求めてその競技をしているか、分からなくなるからだ。

これは逆を言えば、利益(お金)の受領を否定したら、人は"自由"になるのかもしれない。

会社を解雇になった後や、フリーで働いている今など、たまにではあるが、露骨にお金をチラつかせて交渉してくる馬鹿がいた(いる)。

だが、俺としたら、お金は確かに欲しいが、それが一番ではない。
会社をクビになった直後など、お金云々は関係無く、"働きたい"仕事がしたかった。

プロレスは"勝利"を否定する。
相手に勝っても、その試合が盛り上がってなければ、意味がない。

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プロレス的には"勝ち"ではない。

誰かに「お金、欲しいだろ?」と聞かれたら、「…要らない」と言ってやろう。
「俺は、そこを求めていない」と。

『お金、欲しいだろ?』はアナタを『自分の支配下に入れたい』という意志が見え隠れしないだろうか?
だから、俺は金の話から入ってくる人間を信用しない。

ま、それも俺の"思い込み"かもしれない。違うかもしれない。だが、

その想定を崩してやれ。
思い込みを覆してやれ。

そうすれば、"本音"が見えてくるはずだ。

何の為に金💰を欲しがるのか?
その話をするのか?

今一度、見てみる必要がある。
何かベストか、冷静に見る事が出来る。