昔、いわゆる“ヒモ”という男性に会った事がある。
交際している独り暮らしの彼女の家に転がり込み、いつも昼までゴロゴロ。
彼女(OL)が働きに出ている間に、前日その彼女からもらった数千円でパチスロ。
彼女が帰宅するまでに、掃除、洗濯、夕飯の支度を済ませる…という生活をしていた。
「それで問題無かったよ」とそのヒモさん(?)は言っていた。
(…俺じゃないよ)
だが、さすがに彼女も呆れたのか、「働いて!」と言われ、近所のチェーン系居酒屋🏮で夕方🌇からバイトを始めた。
そして、1ヶ月後。
店に来た“ガラの悪いお客”と揉めて、クビ。
元の“ヒモ”に戻ったらしい。
俺と出会ったのはこの頃だ。
「俺、実は、“ヒモ”なんだよね」
「えっ! そうなんすか?」
「彼女の家でダラダラしてんだよなー」
「働かないと、何か言われんじゃないっすか?」
「…そうでも無いよ(笑)」
そんな感じだった。
元々はデザイン関係の仕事をしていて、本人は画家、イラストレーター、似顔絵作家と名乗っていて、実際それで“食べて”いた時もあったようだ。
そして、そのヒモ男は格好良かった。
“キメている”というわけではなかったが、スタイルが良く、服のセンスも(たぶん)良く、何だか“クリエイティブ感”があるのだ。(彼女のお金?)
本人は飄々としている感じなのだが、いかにも『何かやってますよ』という“期待勘(?)”があった。
要するに、モテそう✨👗👠、なのだ。
よく考えてみたら、“ヒモ”に外見は重要だ。
身なりが悪く、格好悪いヒモに彼女だったとしてもお金を出そうと思うか?
見栄え良く、“イカした”カレだから、お金を出そうとと思うのは、当然の心理だ。
ヒモはそれをよく分かっていたのだろう。
いまさら思うと納得だ。
「それで問題無かったよ」というのは、そのヒモが彼女の“希望”に叶っていたからだろう。
ヒモとして、“適合”していて、それがその時の彼女には負担になってはいなかったのだろう。
それならば、それで良かったのかもしれない。
その後、そのヒモの男性とは会っていない。
どうしているのかは、分からない。幸せなのだろうか?
ヒモにも“資格”のようなものがあるのだな、と思った。