鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録⑤ “氷河期”の人々(“同級生社長 林”)


…『そんな中、俺は“あの”求人誌編集の案件を目にする…』


…と書いたが、その前に、この直前に起こった、ある騒動を書いておきたい。


“氷河期”にて…


遡るが、俺たちが大学を卒業した頃(2001年)はいわゆる就職氷河期』❄️だった。

特に俺たちの“一つ上の世代(先輩ら) ”の就職活動はかなり厳しかった。

俺はサークルの先輩からよくその大変さを聞いていた。


そして、その一年後の俺たちもやはり厳しかった💧

その頃はITバブルやら外資系”なんて言葉が賑わっていたころだ。

そんなもの“三流大学”の俺たちにはあまり関係なかった。


…知り合いで“騙されていた”奴が何人もいたなぁ。


これもその内の一つの話だ。


大学の同級生に“林”(仮名)という男がいた。

実家が大阪で中小企業を営んでいた。つまり“御曹司”という奴だった。

…といっても社員30人程の工場であり、ソイツも特に自分のそうした環境を威張るような奴ではなかった。

だが、どちらかと言えば、“商売人”的な気質が強かった。

悪い奴ではなかったが、俺とは一年生の頃に“金銭💴”の事で揉め、仲がわるかった。


なので、俺は林に関して、批判的な印象を持っている。それを加味して読んで欲しい。


就活に四苦八苦し、俺はどうにか就職出来たが(ブラック企業💀…)、うまく職に就けなかった人間も多くいた。


そんな時、林の会社で社長だった実父が急死し、彼が新社長になった。

そして、職にあぶれた先輩や同級生に対し、「ウチです働かないか?」と勧誘したらしい。


俺は就職(超ブラック💀)していて、林とも仲が悪かったので、当然声はかからなかったが、後にそれを聞いた俺は林を見直した。


“(就職)氷河期”は厳しかった🥶

よく、「若い奴はすぐに辞めたりして、辛抱が無い💢」などと言われたが、そもそも就くべき仕事が無いのだ。

「何でも良いだろ?、“とにかく働けよ」”などとよく聞いたが、“何でも良い”ならそういうアンタ今の仕事辞めてみろよ💢、と言いたかった。


で、こうして職に就けなかった若者が“この直後”にくる“日雇い”や“派遣”といった働き方に流れていく事になる、と思う…。


『働き口が無い』という状態は『働かない』に繋がるのか?

そうすると、「どんな仕事でもいいだろ、働け!」という。


だが、俺のようにブラック企業でボロボロに働いていた身の上からすると、“就職氷河期”という“環境”は「だから“働かない”んだよ」では、無く“働き場所を選べない”不自由さを目の当たりさせられていた、と思う。


そんな中、自分の会社に、そうした“仲間”を引き入れてくれる林を俺を見直した。


“氷河期”は、俺の好き嫌いに関わらず、誰しもが“停滞”していた。氷河期から抜け出せていなかった。

 

林は仲間をバイト入社させたようだったが、俺には救済に見えていた。(…こいつ、意外と男気あるな?)と思った。


林の“元値”


その後、ブラック企業を辞め地元浜松に戻って再就職活動&バイト&日雇いに忙しかった俺は、林の会社に入った仲間の“騒動”と“末路”を聞いた。


何と、林“新社長”は自ら引き入れた仲間(同級生や先輩)の給料からピンハネしたのだ。

それで、この頃、仲間内で大揉めしていた。


俺が知ったのは、少し後から。先輩との電話での世間話の中で教えてもらった…。


同級生や先輩から問い詰められた林“新社長”は、当初はピンハネを否定していたが、最後の方には認めたらしい。

「お前、友達からピンハネとかするなや💢」と言われ、林は何と言ったか?


林「仕方ないやん。会社を守る為や」


…である。これが林の“元値”だ。

こういう奴だ。

いざとなれば、仲間から“抜く”人間なのだ。(やりそうだとは思っていたが…)


林と仲間らは、これでさらに揉め、皆、林の会社を辞め、今では友人関係は断絶している(と聞いている)。


ま、元から仲が良くなかった俺からすると、『あのアホなんぞ、そんなもんだろ?』と先輩から事の顛末を聞いて思った。

俺と林の仲が悪いのは過去の金銭絡みのトラブルであり、昔(一年生)の頃からそうした面のある奴だと思い、俺はあまり近付かなかった。正解だったのかな?


だが、この林の「仕方ない。会社を守る為」に嘘はない気がした。

林の会社の内情や状況は知らなかったが、どこの中小企業は常に厳しい。利益を出すのに四苦八苦している。 日本中が不景気だった。(2002~05)

それは、一応全国展開している販売店で店長をしていた俺は少しだけ分かった。

皆、利益💴を欲しがっていた。


会社と組織は常々、“利益💴”を産むように作られている。その為の組織だからだ。

その長の林が、それを求めるのは当たり前。


『会社を守る』事は『組織を維持する』為であり、『組織の維持』は中で働く人間の維持である。


だから、中小企業は少ない資金💴を遣り繰りし、何とか会社という組織を維持させるようとする。大学の同級生だろが、先輩だろうが、そこは変わらない。

同じ会社の“仲間”であり、同じ組織(会社)を石させなければならない人間だ。

だから、“ピンハネ”もする。

林本人はピンハネなんて意識はないだろう。「雇ってやってんだ」みたいな驕りも無い。

単に「俺の会社を維持させる為」という経営者としての感覚のみである。

  

“氷河期”の“仕方ない”人々


林もまた“氷河期”の人間だった。

『生きるのに必死で…』と見ると、ピンハネ(誉められた話ではないが…)は仕方ないし、そういう方法を取る林も利益を求める“俺達の世代”の一人だ。(氷河期世代?)


俺は、この林があまり好きではないが、“ピンハネ”されていないこともあり、林のこの行動には、悲しいかな『仕方ない』に同情している。


4(前)でも書いたが、“仕方ない”という言葉には疑問がある。本当に仕方ないのか?


だが『仕方ない』時はある。人生で起こってしまう。本当にやり方が無い時がある。

就職氷河期とは、そういう時代だったのではないか?


今、俺はそう思っている。 


そんな俺がこの時に思っていたのは、この『“林ピンハネ騒動”』から、(…俺はもうなるべく“大きな企業”に入りたい)という“甘い”印象だった。

今かろ思うと、本当に甘い。

自分の事しか考えてなかった。安定が欲しかっただけだ。

俺もまた“氷河期”の人間だったな。

 

…で、俺は“あの求人誌編集”の仕事に就き、そして、日雇いも本格的に始めるのである。【続く】』