鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学133 武藤敬司と「熊本旅館破壊事件」

武藤敬司、UWF前田日明への反抗が発端だった「熊本旅館破壊事件」…連載「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」〈17〉(スポーツ報知) https://news.yahoo.co.jp/articles/6590ec43f5ab9085e64c8dca2bfb8c45c79964de

 

俺はこの有名な『熊本旅館破壊事件』(87年1月233日熊本県水俣市)を調べるのが好きだ。

 

色んな方々が証言しているが、それぞれ違っているのだ。よく「俺は素面だった」とか「酔っていないから、覚えている」などと証言する関係者がいるが、それぞれの立場からこの事件を語るので、それぞれに違うのだ。

 

その差異が実に面白い。

そして、武藤からの見方が上の記事だ。

 

86年に帰国した武藤。新日本マットでは、“出戻ってきた前田日明などの先輩ら”(UWF)が戦っていた。

彼らは格闘技を意識したプロレスを展開し、それが人気だった。当初はウケていた。(次第に衰退するらしい)

 

そこにアメリカ(CWF)でトップだった武藤が帰国し、一年間、そのUWF勢と戦った。

この頃、新日本はUWF一色”だったようだ。格闘技路線を踏まえたプロレスが中心。武藤は異質だったのだろう。

 

そもそも武藤がデビューした直後、新日本では長州や前田らが離脱し、一気にレスラーが抜けた。

 

そこである程度“好きに”出来たのが、武藤ら若手であり、彼は新人時代からムーンサルトプレスを出したりしている。


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先輩らがいたら、出来ていなかっただろう。

 

そして、海外武者修行に出て、戻ってくると、その先輩らが、“自分の理解できないプロレス”をしている。

 

それで、武藤は熊本の旅館での飲み会で、前田に「あんたのプロレス、面白くねぇーよ」と言ってしまったのだ。

で、キレた前田が「じゃんけん」と称して武藤をなぐりだし、これが旅館破壊に繋がった(一因)ようだ。  


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アメリカ(フロリダ=CWF)でトップだった武藤からすると、格闘技色の強いUWFは「面白くないプロレス」でしかなかったのだろう。

後年、新日本が格闘技路線になると、全日本へ移籍した経緯はここら辺にあるのかも?

 

この事件の後、再度アメリカへ渡った武藤は、


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ニンジャキャラを変化させた“悪の化身”グレート・ムタでブレークする。

 

こんな武藤にとってみて、“プロレス”とはやはり“ショー”であり、その中で“何を、どう見せるのか?”を追い求めるものなのだろうな。


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ちなみに“10.9”の後、武藤は猪木から「あんな技(ドラスク→足四の字)出しやがって💢」と怒られたという。

武藤はアントニオ猪木を認めつつも、その格闘技思考には疑問を抱いていて、相容れていない。

 

そう考えると、武藤はまさに“プロレスをするプロレスラー”だ。


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AbemaTVの『有田の引退テレビ』を観たが、武藤は徹頭徹尾、プロレスラーだ。

 

プロレスは格闘技ではない。

闘いではあるが、勝敗は関係ない。

求めるのは、観る者(お客)の興奮(ヒート・スイング)だ。

それで“稼い”💰️

 

それを体現したようなプロレスラーだ。

 

…ま、残念ながら、団体は2つほど(全日本、W-1)、潰してしまっているが。


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武藤敬司というプロレスラーを見ていると、“強さ”の土台が揺らぐ。

何故なら、彼は肉体的、技術的な強さから逸脱している。

では、弱いのか?

 

それも違う。

リングで輝く武藤は常に、“強い”

“プロレスラー”としてまさに“最強”だ。“光る男”だ。

強烈な“発光体”だ。アントニオ猪木ジャイアント馬場に次ぐ、一流のプロレスラーだろう。

キャラが立っていて、プロレスラーとしての“位置”から“出ない”。

 

似たようなプロレスラーに、俺の嫌いな大仁田がいたりするが、武藤にはあの“しつこさ”を感じない。

武藤はまた『観たい!』と思わせてくれる。

 

その時点で、武藤敬司は“強い”のだろう。