以前、とあるデータ処理の会社で働いていた時の話だ。
働いていたのは俺一人では無く、幾人か、俺のようなフリーの奴等がいて、彼らと組んで働いていた。
その現場はその時はとても忙しく、昼間はそこの社員とバイトが作業し、夜から俺たちのような"フリーランス"の人間が交代で深夜(22時くらい)まで作業するという事だった。
その作業は、専用シートにデータを打ち込み、確認。さらにはそれをプリントアウトして、さらに再チェックする、という流れだった。
その時、よくプリンターが故障した。
その度に排紙口辺り確認した。すると、そこの部分に紙が詰まり、排紙出来なくなるのだ。
何度もそうなるので、さすがに困り、"同僚"と一緒にそこを管理する社員(主任)に訴えた。
すると、意外な事を言われた。
「そんな事を言うのはアンタらだけだよ」
「?」
『そんな馬鹿な⁉』と思った。
プリンターの故障は、何度も起こるので明らかに日中から現れている事が予想できた。
これがわからないはずが無い。
昼間の連中(バイトら)は、何故、この主任に故障を訴えないのか?
その理由は一緒に働く同僚が知っていた。
どうも昼間に働くバイトらが、意図的に口を"つぐんでいる"らしい。
何故か?
それは、どうも昼間にこの現場を仕切る社員(夜とは別の人)が、配下のバイトらに怒りまくるらしいのだ。
なので、怒られる事を恐れたバイトらはプリンターの不調を言い出せないらしい。
ちなみに、プリンターの故障は何度も使用する故の『使用劣化』であり、バイトの責任は無い。
だが、その主任が度々ブチキレるので、怖がって言えないらしい。
俺もその主任(女性)が怒りまくっている現場を見た。
辺り構わず怒鳴り立て、ネチネチと言い詰める。
俺自身も、そんな高圧的な奴が大嫌いであり、何回か口論になったりした。
彼女はとにかく怒る。
辺りに怒鳴る。反論を許さない。下手に楯突くと倍になって返される。
社員であるということをカサに威張り散らす。
俺は彼女を密かに『エカチェリーナ』(ロシア絶対王政期の女帝)と呼んでいた。
それくらい彼女は威圧的であり、その場では"絶対的"だった。
何故、彼女はそんな態度なのか?
これは俺たちの予測だが、彼女にも当然上司がいて、管理管轄されている。
その上司から猛烈にプレッシャーを受けているようだった。
おそらく作業の遅れを厳しく言われているのではないか?
この会社にも当然規律やノルマがあり、それは厳重され、守れないなら怒られ、給料に響くはずだ。
だからブチキレる。
辺り構わず怒鳴る。
※続く