鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学27 "プロレス"への誘い

前回の話(後輩小松)の続きのようになるが、そのブラック企業の部長もやはり意外なものが嫌いであった。

それは、スポーツ。
特に野球が大嫌いだった。

野球の何が嫌いなのか?
その理由の一つを部長は『ストライク・ボールの判定』を挙げる。
野球の判定の多くは審判(アンパイヤー)が行う。

それが気に入らないらしい。

「なぜ、人間の"目"で判定するんだ? そんなのあまりにも不安定だろ! 何で同じ人間である審判に判定を委ねる?」

たから、嫌いらしい。
こんな事を言い出したら、スポーツは始まらない。多くのスポーツでは人間がレフェリング(審判)を行っている。
それに『何で従わないければならない』等と言えば、そのゲーム(スポーツ)自体が成り立たない。

部長本人の目の前では言いにくかったが、この"一つ目"の理由を恥ずかしげもなく放つこの部長を、俺は心から軽蔑していた。

それは、部長の言い分を簡単にしたら、

『俺は誰にも従いたくない!』

という、まるで子供のような"ワガママ"だからだ。

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"自己ユーティリティ"の高い人間の思考でよくあるのは、『自分に任された役割』や『状況』などを(自分のみが不利益を被っている)と"被害者意識"にする変えてしまう事だ。

誰しも全員が同じ条件で行動していて、それに自分が従う事を(自分だけが"被害者"に合っている)と思うのだ。

何故か?

それは自己ユーティリティの高い人間自身が、『人間はそれぞれ平等であり、人間とは元来、自由気儘であり、自分勝手な存在だ』と分かっているからだ。

だが、社会には様々なルールがあり、組織に入れば、その組織のルールに規制される。
そのルールがたまたま自分の行動に沿っておらず、行動を規制される事は仕方の無い事だ。

本来"勝手"な自身が、他人の"ルール"によって規制される。

これが堪らなく頭に来るのだ。
(何故、俺を"縛り付ける"のだ!)
(俺は俺の勝手にしたい!)

だか、厳然とルールはあり、それを犯せば、ペナルティ(罰)が下る。
『自分の自由(勝手)は認めて欲しいが、他人の自由は認めたがらない』という気質を持っている部長のような"自己ユーティリティの高い"人間は、他人の作ったルールを嫌悪する。

だから、そのルールの下に行っている野球などは大嫌いであり、"自分が決めていないルール"で行われているスポーツ全般は、酷く自分に"不利な"行動であり、認めないし、やらない。

…バカらしい人間である。

だが、『自分の自由(勝手)は…』というのは、俺もそうである。

しかし、スポーツのルールには従う。
今のW杯でVAR(ヴァーチャル・アシスタント・レフリー)が採用されている。
あれなら部長は納得しただろうか?

……それは怪しい。

部長が野球を嫌いな理由の2つ目は、

『野球をやっている奴ってなんかエラそう』

というとものだった。
そう言えば、俺の高校でも野球部の連中は何故か、威張りくさっていた。
野球をしているからと言って、"偉い"わけではない。

部長がいうには、「野球だけが優遇されている」らしい。

確かにプロ野球は中継され、プロ選手は高い給料を貰っている。高校野球は毎年話題になる。

「何で野球だけが選ばれる? おかしいだろ? 不公平だ」

だから嫌いらしい。

これは前回の小松(仮名)同様、自分は野球が苦手なので、それをやる人間か許せないという"器の小さな証拠"である。

自分が得意で、自分が"勝者"になれる事しかしない。

そんな人間である。

ちなみに部長は小松とは逆で麻雀🀄が大好きであり、俺も誘われた(断ったけど)。

大好きな麻雀ならば、自分の"範疇"であり、ある種、ルールは自分が決められる。
負ける可能性もあるが、自分が知っていて、自分の得意な事なので、納得できる。
自分の部下と行えば、ゲーム上は皆、平等だが、実質的に自分が"ルール"だ。

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そんな自分の"支配下"でしか、戦わない部長。

前回、『麻雀はリアルファイト✊』と書いたが、この場合は"プロレス"だ。

部長にとって、自分が理解していて、自分がルールである麻雀は、自分を中心に動かせる"プロレス"に違いない。

対して、他人のルールで戦う野球などのスポーツは"リアルファイト"だ。

臆病者で負けたくない部長は、自分が威張れるプロレスを好み、傷付く可能性の高いリアルファイトは絶対にしない。

部長にとって、リアルファイトは自身に不公平な闘いを強いる、極めて"差別的な"行為だ。

そんな部長は退職後もちゃっかりグループ内の子会社に入り込んでいるようだ。

絶対に"リアルファイト"をしない。
自分の威か張れる、自分の意志が尊重される組織にしかいれない。

麻雀が部長にとって良かったのは、それな形式的には"リアルファイト"に見えるからだ。
部長はよく麻雀後に「俺はオマエらに勝たそうとして上げているのに(笑)」と言っていた。
言葉通りには受け入れられない。

負けたら不機嫌になるからだ。

部長である自分が"敗者"などになることは認められない。
『俺は何をしていても強いんだ』と言いたいからだ。

まさに"パワハラ"であり、"腰抜け野郎"である。

そして、それはプロレスだ。
自分の勝てる範囲で、勝つべくして勝つ。
しかも対外的には"リアル"。

もうそれはプロレス以外に考えられない。
(部長がプロレス好きであったかは不明)

ポイントは自身が、「これがリアルだ」と思っていたところだ。
先に書いたが、『人間は元来、自由であり、勝手気儘』である。

それを忘れてはいけなかった。
部長が威張れば、威張る分だけ社員の心は離れていく。
しかし、本人は「これがリアル。俺は間違っていない」と思っているからどうしようもない。

『裸の王様』である。


自分を否定する人間、批判する人間は全て不可である。
自分がルールで、自分が審判だ。
それに従えないなら出ていけば良いだけ。
「馬鹿かアイツは?」

いやいや、馬鹿は部長もだ。
確かに、組織に従えない(俺?)のなら、去るべきだ。
だが、それは別に部長が優秀なわけではなかった。
ついていけないだけであり、元凶は部長にある。

その事が分かっておらず、野球を嫌うように自分の意にそぐわない人間を排除していった。

そうして、自分の"プロレス"に参加する人間だけを好んだ。

愚かではあるが、こんな馬鹿は社会にはゴマンといるし、俺もそうかもしれない。

だから、俺は忘れない。

人間は自由だ。何をしても、何を言っても良い。
誰かに嫌われても、好かれても、認められても、認められなくても、自由なんだ。

好きに生きて何が悪い。

いつか、こんな『裸の王様』にシャイニング・ウィザード(閃光魔術)を喰らわしてやる!
覚えておけ!