鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学104 仮面(マスク)の先に

今日(1/5)、新日本プロレスのベテランマスクマン、獣神サンダーライガーが引退する。


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獣神サンダーライガーがプロレス界に与えた影響はかなり大きい。

特に功績として大きいのは、『団体のボーダレス化を促進させた事』だと思う。

 

『スーパーJ-CUP』

『ジュニア8冠統一戦』

 

など、他団体のジュニア戦士を積極的に新日本のリングに上げ、自身も他のリングに上がりまくって活躍した。

普段は戦わないレスラーの“夢の対戦”が続出した。

 

これにより、日本プロレス界の“ボーダレス”化が進んだ。

このライガーの活躍により、団体対抗戦という色合いの他団体とのプロレスが、“ジュニア界”という、…枠(ジャンル)になって見られるようになった。

 

力強さや、見たことない技を駆使して、観客を興奮させるヘビー級レスラーに対し、ウエイトの落ちるジュニアヘビー級レスラーは、早さ、高さ、多彩な技をメインにプロレスをする。それで観客の興奮を引き出す。

 

だが、ライガーには“先駆者”がいた。


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初代タイガーマスク🐯(佐山サトル)だ。

 

タイガーマスクがプロレスに与えた影響は計り知れない。

キックボクシングとルチャ・リブレをミックスさせたクイックで、華麗なプロレスは間違いなく新しい“プロレス”を作った、と言える。

それまで、ただ『ヘビー級より軽い』『“準”ヘビー級』くらいの印象のなかったジュニアヘビー級を、それだけで“集客力”を持たせるプロレスにしてしまった。

 

『証言「新日本プロレスジュニア黄金期」の真実』の中で、ライガーは、先駆者タイガーマスク🐯存在をかなり意識している。

 

当初、山田恵一は“マスクマン”になることにかなり難色を示したらしい。


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山田恵一が獣神サンダーライガーになったのは、あくまでも“ポスト”タイガーマスクを期待されていたからだ。

それまでも、多くの“新しい”タイガーマスクが出ては、消えて行った。

それほどタイガーマスクの存在はデカかったのだ。

 

ライガーに期待されるのは、やはり“タイガーマスク”である。

 

だが、ライガーは、タイガーマスクにはならなかった。

 

というより、タイガーマスク(初代)と同じ土俵で戦わなかったのである。

確かに派手な飛び技や、素早い攻撃を繰り出したが、彼がしたのは、『団体の垣根を越えたプロレス』という、新しい価値の創出だった。

 

ライガーは思ったのではないか?

 

タイガーマスクになるより、いかにしたらタイガーという存在を越えられるのか?』

 

それはタイガーより凄いプロレスを見せる事ではなく、『タイガーのしなかった事をする』という思い付きに至ったのではないか?

 

それは“他団体時代”を迎えていた日本マット界にマッチしていた。

ライガーの見せてくれた“夢の対戦”は、プロレスファンに熱狂的に受けた。

 

タイガーマスク🐯という強烈は“教祖”に魅せられた“信者”(ファン)に、違う“夢”を見させて、惹き付けた。

 

“信者”は、その“教祖”を無警戒に信じている。

自分の信じた“夢”を信じる。

皆、タイガーマスクに“夢”を見た。

 

これを越えるのは不可能と言えるのではないか?

 

だからこそ、夢の先を見させる。

“そっち”もあるけど、“こっち”はどう?』というような話だ。

 

ライガー“こっち”は、ジュニアヘビー級”という世界の創出であり、ボーダレスなプロレスだった。

 それは、タイガーマスクがしなかった事だ。

 

“究極龍”ウルティモ・ドラコン🐉

“東北の英雄”グレート・サスケ⚔️

“浪花の天才イルカ”スペル・ドルフィン🐬

“インディ界の鷹”ハヤブサ🦅

 

ライガーが呼んだり、戦ったプロレスラーは意外と多い。

そして、それはライガーがいたから陽の目を見たと思える。

 

強烈な“教祖”には、同じ土俵で戦わないのが、最適なのだ。

獣神サンダーライガーのマスクを被った先に、ライガーは、ライガー自身の“方法”を見つけたのではないか?

こうして、ジュニア界を“ボーダレス化”するのが、自分がプロレスラーとして、生き残る“道”だと思ったのではないか?

 

ライガーよ、永遠に…。