今日(1/5)、新日本プロレスのベテランマスクマン、獣神サンダーライガーが引退する。
獣神サンダーライガーがプロレス界に与えた影響はかなり大きい。
特に功績として大きいのは、『団体のボーダレス化を促進させた事』だと思う。
『スーパーJ-CUP』
『ジュニア8冠統一戦』
など、他団体のジュニア戦士を積極的に新日本のリングに上げ、自身も他のリングに上がりまくって活躍した。
普段は戦わないレスラーの“夢の対戦”が続出した。
これにより、日本プロレス界の“ボーダレス”化が進んだ。
このライガーの活躍により、団体対抗戦という色合いの他団体とのプロレスが、“ジュニア界”という、…枠(ジャンル)になって見られるようになった。
力強さや、見たことない技を駆使して、観客を興奮させるヘビー級レスラーに対し、ウエイトの落ちるジュニアヘビー級レスラーは、早さ、高さ、多彩な技をメインにプロレスをする。それで観客の興奮を引き出す。
だが、ライガーには“先駆者”がいた。
タイガーマスクがプロレスに与えた影響は計り知れない。
キックボクシングとルチャ・リブレをミックスさせたクイックで、華麗なプロレスは間違いなく新しい“プロレス”を作った、と言える。
それまで、ただ『ヘビー級より軽い』『“準”ヘビー級』くらいの印象のなかったジュニアヘビー級を、それだけで“集客力”を持たせるプロレスにしてしまった。
『証言「新日本プロレスジュニア黄金期」の真実』の中で、ライガーは、先駆者タイガーマスク🐯存在をかなり意識している。
当初、山田恵一は“マスクマン”になることにかなり難色を示したらしい。
山田恵一が獣神サンダーライガーになったのは、あくまでも“ポスト”タイガーマスクを期待されていたからだ。
それまでも、多くの“新しい”タイガーマスクが出ては、消えて行った。
それほどタイガーマスクの存在はデカかったのだ。
というより、タイガーマスク(初代)と同じ土俵で戦わなかったのである。
確かに派手な飛び技や、素早い攻撃を繰り出したが、彼がしたのは、『団体の垣根を越えたプロレス』という、新しい価値の創出だった。
ライガーは思ったのではないか?
『タイガーマスクになるより、いかにしたらタイガーという存在を越えられるのか?』
それはタイガーより凄いプロレスを見せる事ではなく、『タイガーのしなかった事をする』という思い付きに至ったのではないか?
それは“他団体時代”を迎えていた日本マット界にマッチしていた。
ライガーの見せてくれた“夢の対戦”は、プロレスファンに熱狂的に受けた。
タイガーマスク🐯という強烈は“教祖”に魅せられた“信者”(ファン)に、違う“夢”を見させて、惹き付けた。
“信者”は、その“教祖”を無警戒に信じている。
自分の信じた“夢”を信じる。
皆、タイガーマスクに“夢”を見た。
これを越えるのは不可能と言えるのではないか?
だからこそ、夢の先を見させる。
『“そっち”もあるけど、“こっち”はどう?』というような話だ。
ライガーの“こっち”は、“ジュニアヘビー級”という世界の創出であり、ボーダレスなプロレスだった。
それは、タイガーマスクがしなかった事だ。
“究極龍”ウルティモ・ドラコン🐉
“東北の英雄”グレート・サスケ⚔️
“浪花の天才イルカ”スペル・ドルフィン🐬
“インディ界の鷹”ハヤブサ🦅
ライガーが呼んだり、戦ったプロレスラーは意外と多い。
そして、それはライガーがいたから陽の目を見たと思える。
強烈な“教祖”には、同じ土俵で戦わないのが、最適なのだ。
獣神サンダーライガーのマスクを被った先に、ライガーは、ライガー自身の“方法”を見つけたのではないか?
こうして、ジュニア界を“ボーダレス化”するのが、自分がプロレスラーとして、生き残る“道”だと思ったのではないか?
ライガーよ、永遠に…。