鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

新社会人へ③ "ロジャース"グループ

馬場が海外修行中に対戦したアメリカ人レスラーに『バディ・ロジャース』がいる。
(…確か、正しい発音は"ズ"のはずだが)

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アメリカンプロレスにおいて、"ヒール"チャンピオン像を作った1人であると思う。

彼はNWA傘下の全米プロモーターの主宰興行を周り、地元のレスラーと戦う。
ロジャースは観客を馬鹿にして、相手をコキ下ろす。試合では卑怯な手や反則をしまくる。
観客は彼に罵声を浴びせ、地元のレスラーを応援して興奮する。
それで次回の興行のチケットも買おうと思う。
プロモーターはロジャースを興行に呼ぶことで儲かる。
いわゆる"サーキット"の概念をプロレスに持ち込んだ1人だ。

だが、ロジャースは手が込んでいた。

彼は"ロジャースグループ"という、仲の良いレスラー達が何人かいて、彼らとプロレスの試合をする事で興行を成り立たせる。
地元のレスラーと戦わなくても、卓越した"プロレス能力"(レスリング能力ではない)を持つロジャースは、それで観客を興奮させる事ができた。
そのグループと戦い、興行を盛り上げ、彼(ら)はその地区を去っていく。

※ちなみにジャイアント馬場もそのグループの1人だった…。

彼らが去っていった後、その地域はロジャース無しでは興奮できなくなる。

ロジャースと、"グループ"のレスラーはリングでは歪み合う"敵同士"だが、リングを降りたら、仲の良いレスラーグループである。

この"やり方"を見た馬場は、これを日本に持ち込んだ。
いや、全てのプロレスはこの"対立構造"で成り立っている。
プロレス団体内の"ユニット"抗争などはこの方式を"拡大化"させたものだろう。

人は"対立構造"を好む。
異なるイデオロギーや立場を戦わせたがる。

だが、プロレスの結末は決まっている。
決まっているなら、プロレスの試合は、レスラー二人で"作り上げている"ものだ。

だから、試合なら仲の良い相手と戦いたい。
自分の意思を分かってくれる相手と試合を作りたい。

だから、"グループ"を作る。
自分の意思を完璧に分かってくれる、自分にとって"最高"の相手。
プロレスするなら、『仲の良いレスラー』と、したい。

現実にもそんな奴(ら)いないか?

「アイツ、いつもあの人と一緒にいるな」
「アイツら、喧嘩しても仲良いな」
「何であんな酷い奴とアイツらは仲良いんだ?」

それは"グループ"だからだ。
グループにいることにメリットがあるからだ。

そのグループの誰かにとって、都合の良い人間を"囲って"いるのだ。

その前提には、『人は、自分の言うことを聞いてくれる他人を好む』という性質がある。
勿論、他人だけで無く、これを読んでいる貴方も。
(俺もね)

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(きっと、この人も)

だから、人はグループ(集団)を作りたがる。
いつもの仲間。
大好きな仲間。
自分の意思を完璧に分かってくれる仲間。
そういう仲間が欲しくてたまらない。

ならば、社会に出たらグループを作れば良いのか?

そうではない。
確かに"グループ"は有難い。その恩恵は大きい。
貴方を助けて、貴方の役に立つかも。
貴方がグループの誰かの為に働くのは素晴らしいかもしれない。

そこにいたら、安全安心。
何も問題が無いだろう。

しかし、人はいつか1人だ。
そのグループがいつまで在るわけでは無い。

よく考えたら、そのグループを離れた自分に何か残るか?
何も無いのだ。
(だから、グループの堅持にやっきになる)

俺自身、そんなグループの仲にいたりして満足感に浸っていた時期もある。

だが、居づらくなったり、外させたりして気付く事がある。

一時、そうしたグループにいるのは良いかもしれない。
だが、グループは必ず瓦解する。崩壊しない組織はない。もしくは、外観として維持していても中身は"別物"という事もある。

それを念頭に置いておくべきだ。

また、貴方にとって都合の良いグループはいつも簡単に無くってしまう。

グループに固辞するな。
グループを信じるか。

グループに拘る、組織に依存する人間は悲しい。
そこにしか"居場所"ないと分かっているから、必死だ。
だが、人間はいつも『1人』なんだ。

いつか、「アンタはどうする?」と問われる時が来る。

俺はいつも何かのグループに入って、安心してしまう愚か者である。

プロレスが"試合"の形を取る限り、そこには"勝ち役"と"負け役"をある。
負け役を受け入れたら、そのグループはそれなりに居やすいのかもしれない。

さて、貴方は"負け役"を続ける事が平気か?

また、"勝ち役"であり続ける事の危うさに不安はないか?

だから、思い知るべきだ。

グループはとても便利だ。
だが、グループに依存してはならない。

ロジャースは最高のヒール(悪役)チャンピオンの1人である。
彼がいたことで、試合が成り立ち、観客は興奮する。
稼げる。
プロレスにはグループが有意義な存在だ。

社会的にもグループは有意義だ。
誰かに寄りかかり、寄りかかられる生き方はある時期には有効だ。

だが、それは常に崩壊の危機を孕んでいる。
それを知っておこう。