鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学39 Orienteering WITH Napalm Death

地元の出版社(広告)にバイトとして潜り込み、それなりに満足していた俺だったが、やはり不安と不満は絶えなかった。

それは金銭的なものだ。

つまり、『金が欲しい』である。

同い年の奴らはバンバン稼いでいる。
ボーナスなんかで車や時計などを買っている(と思っていた)。
それなのに俺は、バイトで食い繋いでいる日々…。
前の"ブラック企業"の時は一年弱勤務していたが、ボーナスは1度も出なかった…。

…金が無い。
…どうにかしたい。

もっと金💰を手にする方法はないか?

俺はこの頃、単純に『利益』が欲しかった。

実際のところ、会社からは「営業(正社員)にならないか?」と度々誘われていた。
確かに正社員となれば給料は確実にアップする。

しかし、前のブラック企業で散々とコキ使われた経験と、営業職の厳しさが俺を尻込みさせた。
誘われてもノラリクラリと交わして、腹の中で、

(…誰がするか…)

と思っていた。

誠に愚かな奴だ。

(ここが俺の居場所だ!)なんて思いながら、その裏ではそんな皆を馬鹿にしているかのような考えを持っていた。
甘い奴だ。

…振り替えれば、

今はいろんなクライアントにペコペコ頭を下げているので、営業職と大して変わりが無いのだが、その頃の俺はそんな甘い考えをしていた。

また、ここで営業として正社員にならなかった事が後々大きな意味を持ってくるのだが、この頃の俺はそんな未来など予期は出来なかった。

金が欲しい。

…でも金は無い。

そんな俺はバイト入社と同時に、雑誌で見つけた『スポーツライター養成講座』に自分の書いた文章(確か、楽天イーグルスのレポート記事)を送った。

その記事が認められ、俺は東京で開かれたその"養成講座"に参加した。
さらに運の良い事に、俺の書いた文章は編集の目に止まり、養成講座の中から選抜された"実践塾"のメンバーに選ばれた。

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高校生の頃から、山際淳司さんや海老沢泰久さん、沢木耕太郎さんなどのスポーツノンフィクションをよく読んでいた俺は格闘技好きも相まって、スポーツライターになりたい願望を持つようになっていた。

その時の俺の気持ちは、単純に(スポーツライターって儲かるのかな?)という金銭的な願望がほとんどだった。
(ライターになって、バンバン稼いで、金持ちになりたい、なれる!)と本気で思っていた。

月二回。
日曜日になると、新幹線🚅に乗って東京の出版社に向かい、帰りは金が無いから電車🚃(鈍行)で浜松に戻った(深夜)。

取材費も無く、バイトの後に日雇い仕事をして稼いだ。

今思えば、何しているのか、わからないが、当時はこれで自分が今の生活からどうにか変われる気がしていた。

…ちなみに俺がこんな"二重"生活をしていた事など、家族には言っていない。(薄々気付いていたかも?)
当時付き合っていた彼女や、友人数人にしか言っていない。

(好きな格闘技、プロレスの事を書いて、金を稼ぐ事が出来たら、なんて素敵なんだ!)

と、思っていた。

…甘い奴だ。
まさに"幻想"だ。"自分幻想"だ。(セルフ イリュージョン?)

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(これはエメラルドフロウジョン)

雑誌社のライター講座をやっていただけで依頼が来るほどライターの世界は甘い世界ではない。

この"実践塾"は確かに今の俺に多大な経験を与えてくれた。とても感謝している。
また、この実践塾で文章を練り上げ、質を高める校正や編集、または記事のネタを見つける作業はとても新鮮で面白かった。今の俺に繋がる経験であった。

しかし、同時にバイト先の出版社で正社員採用の話が出ると、俺はあっさりライターを諦め、その話に乗った。
遠い"幻想"より、近くの"現実"を取った。


…今思えば、この時の俺の"選択"は間違っていた。
あっさりとライターを諦め、楽な方に"逃避"していただけである。
だから、この後、またパワハラに合ったり、解雇されたりと散々な目に合うのだが、それでも不思議と"後悔"はない。
嫌な思い出が続くし、前職の"ブラック企業"に続く『パワハラ地獄』だが、世間を見たら、そんな話いっぱいあるし、それが契機で俺は(俺は、なんて生きにくい社会を生きているのか?)と悩む事になり、ひいては、

(俺たちが散々苦労しているこの"社会"って何なんだ?)

と考えるようになった。
俺の人生の放浪の"きっかけ"がここにある。
1度覗いた『ライター業』の魅力だけが残り、俺はまた人間関係の"渦"の中に入っていくのだが、ここまでは言わば、"Orienteering(オリエンテーリング)=軍事歩行訓練"だった気がする。

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世間を知らない俺に、

「これが、社会(世間)だよ」

と若干厳しく教えてくれたような感じがする。
…当時の俺は『金の雨☔』を降らせる事しか考えていなかったが。

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俺はパワハラしてくる"権威主義者"や、上から目線のクソ野郎が大嫌いだ。

MMAからプロレスの方に"回帰"してきた事もあり、

『金』=MMA
『その他』=プロレス

というような見方をしていたような気もする。
無職になり、会社という組織から離れ、バックボーンを失った俺にとって、『正社員採用』を匂わせ、キチンと給料をくれ、さらに重宝がってくれるバイト先の出版社が"現実"に思えた。

何はともあれ、『金』であり、自分を守ってくれる『組織』だ。
金や組織こそがリアル(MMA)であり、正しいのだ。

しかし、MMA(リアル)は"楽しく"ない時がある。また、簡単でもない。

以前ハマっていたプロレスは"面白そう"だ。簡単ではないが、納得できる部分が多い。

リアルとプロレスを"往き来"しながら、俺は"訓練"していた、と思っている。

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(鈴木軍のザック・セイバーJrの"Orienteering WITH Napalm Death"は直訳すれば、『焼夷弾死における歩行訓練』になるが、『Napalm Death』はイギリスのパンクバンドの名前のはず。意味不明だ)

1度諦めたライター業だが、この時の経験かそれなりに役立ているし、この出版社の"様々"な経験はやはりその後の俺の考え方に影響を及ぼしている。

人は安易な方向に流れ安い。

『悪魔は優しい』とはよく言ったものだ。
そして、『チャンスはピンチの顔をしてやって来る』のだ。