鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

"神の子"の死と怒り

格闘家、山本"KID"徳郁が無くなった。

イメージ 1


また41才という若さだった…。
俺も同年代だから、かなり残念。

このニュースに対し、ヤフーのコメントに「試合も弱くて、病気にも負けた」と書いた奴に芸人のハチミツ二郎がキレた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000005-jct-ent

ハチミツ二郎は芸人きっての"プロレスファン"である。
このハチミツ二郎の"怒り"をオレは"プロレス"的に解析してみた。

まず、『病気にも負けた』という指摘は的外れだ。

脳腫瘍のステージ2だった俺から見れば、KIDは胃ガンだったらしいが、発表から死去までが早い。
おそらく、ステージがかなり進んでいたのであろう。
『病は気から…』などと言うが、病が進んでからは"気"ではどうにもならないと思う。病気はシビアだ。人間の心情などは及ばない。

そして、病との戦いは、医者の仕事である。

患者であるKIDが出来ることは少ない。
ただ静かに治療を受けるのみだったであろう。

『病気に負けた』のは彼の主治医であり、治療していたKIDの"負け"ではない。


『試合に弱くて…』も間違っている。
山本"KID"徳郁の総合での戦績は18勝6敗であり決して弱い印象はない。

これはおそらく、キック(ボクシング)ルールでの戦績(1勝3敗)を指しているのだろう。

確かにこのルールでは、総合出身のKIDには不利であり、負けてしまうのも仕方ない。(魔裟斗にも負けていたなぁ)

しかし、これくらいの戦績の同時期のキックボクサーは山ほどいたはずだ。

キックルールの戦績だけを見たら、確かに『弱い』のかも知れない。

しかし、彼ほど注目された格闘家はいたか?
また、負けても"華"のある格闘家が他にいただろうか?

もし、"超"の付く筋金入りのキックボクシングファンであり、戦績でしかその格闘家を判断しない人間がいたらしたら、KIDを評して『弱い』というのであれば、分かる。

だか、このコメントのような人は"負けた山本KID"という印象を持っているのかも?

しかし、もしも彼が判定狙いの"膠着"ばかりの格闘家だったら(…誰とは言わんが)、ここまで人気が出ただろうか?
注目されただろうか?

格闘技は"勝ち負け"だけではないのだ。
いかに観客を盛り上げ、試合に勝っても負けても、その心に残らないといけない。

勝敗を"度外視"し、観客の興奮を目的とするのはプロレスの"原理"である。

断っておくが、山本"KID"徳郁がプロレスをした事などなく、彼は純粋な格闘家である。

純粋な格闘家ならば、その勝敗のみで批判されて然るべきだ。
だが、格闘技の大会を"興行"として見るのならば、KIDはその勝敗を越えた場所にいる。
彼を観たくて観客がチケット🎫を買う。
彼が出るから、試合を見たいのだ。

だから、彼の功績は計り知れない。

"プロレス的"な視点から見たら、山本"KID"徳郁は『弱く』はない。

何度か書いたが、プロレスには勝敗は本質的には関係がない。
プロレスの強さとは、『いかに観客を興奮させたか』に寄る。

だから、KIDは"強い"のだ。

大のプロレスファンであるハチミツ二郎は、ただ印象のみで(しかも匿名で)、KIDを判断するコメントに怒りを持ったのではないか?


そう言えば、"闘うフリーター"所英男が対戦を熱望していたな…。

RIZINのリングで向かい合う二人が見たかったなあ…。

残念。

甥のアーセンに期待。