前に『宅配寿司チェーン』の店長と些細な事で“放送禁止用語”で口論し、派遣会社の担当者を巻き込んだ話を書いた。
また思い出した話がある。
それは俺が脳腫瘍から復帰し、仕事も無く、日雇いで食いつないでいた時の事。
仕事はその日の朝に採れたチンゲン菜の出荷作業。
現場に到着して、俺はそこの“社長”に挨拶をした。
よく『礼儀なんぞクソ喰らえだ』などと書いてはいるが、俺も初対面の人間にそれなりの対応はする…。
で、作業現場に行くと、そこの社員らしきオバサンが声を掛けてきた。
オ「…あなた、社長に挨拶してきた?」
俺「は、はい。い、今、ししてきましたよよ」
だが、オバサンは何故か「もう一度、挨拶しにいきましょうー」と言い出した。
俺が「今、した」と言っても、「とにかくもう一度」と言い張って聞かない。俺が「何故?」と尋ねると「挨拶は何度しても良いから」という始末。
俺は渋々と一度挨拶した直後に、また同じ社長に挨拶をした。
挨拶をされた社長からしたら、(…あれ?)と思う行為だと思えたが、何故かその社長は満足そうだった。
これに俺はカチンと来た。
(…なんだ、コイツら? 馬鹿なのか?)
今から思えば、初対面の俺の態度が悪かったのかもしれない。オバサンは俺の為を思って再度の挨拶を促したのかも?
あの社長の満足そうな馬鹿面からしたら、その可能性は高い。
だが、俺からしたら『訳のわからん事を強要するクソババア』としか思えなかった。
で、チンゲン菜の置き方をぐちゃぐちゃと指示され、いつもの癇癪が爆発💥
俺「うるせーな、アンタ! 自分でやれや!」
オ「…ちょっと、何なのその口の効き方は!」
こうなると、また“中学生”の口論だ。
この騒ぎを聞いた例の社長が、「おらっ! 黙って働け!」と怒鳴った。
俺はこれにもカチンと来たが、確かに今は作業中だ。
オバサンと口論するこちらに非がある。
俺はその後、ババアと口も聞かず、黙々とチンゲン菜を箱に入れて、三時間ほどで仕事は終わった。
最後に社長には「…お、お疲れ、さ様でしたた」と挨拶したが、ババアは睨み付けて帰った。
当然だが、次の日から俺がその現場で働く事はなくなった。
俺もそれで良かった。
そんな事もあり、俺は礼儀を強要する馬鹿が大嫌いだ。
礼儀など意味が無い。
礼儀正しい事がプラスになる組織が大嫌いだ。
俺も便宜上、礼儀を取る事がある。だが、こちらが礼儀正しくしたに、相手がそうでないとソイツを小馬鹿にする。
人間は誰を尊敬しようが、誰を慕おうが自由だ。
派遣された現場の社長を、派遣バイトが必ず尊敬するなど、甘い思い込みだ。
尊敬されたくば、尊敬される行動をしろ。
それを見て、俺は判断する。
それは、悪い事か?
無条件に礼儀正しくする人間の方が、むしろ怖いし、怪しいし、奇妙だ。失礼ではないか?
別にこちらを尊敬してくれとか、敬えとは言わない。
嫌なら、派遣してくるな。
俺から言わせて貰えば、「俺様を尊敬しないと、挨拶しないとお前を雇わない」は、思い上がりでは?
「働きたいなら、俺に尊敬を払え」は非常に恥ずかしい人間の言葉だ。
派遣バイトだからだと、こちらを舐めていないか?
小馬鹿にしているのは、そちらだ。
そんな感じで人が付いてくると思うのか、俺に「思い上がるな!」と怒るなら「思い上がっているのは、あなたでは?」と言いたい。
『どうせ日雇いの派遣。こちらが雇わないと金無いんだろ?』という人を小馬鹿にした態度が透けてみえるのだ。
他人は他人を理解して初めて尊敬したり、親しく感じたりする。
初対面でいきなり尊敬する奴は、そちらの方がおかしい。怖い。
そうした態度の派遣バイトに満足している方が、逆に恥ずかしくないのだろうか?
だが、それで満足する人間がいるのも事実だ。
俺自身、初対面の人間が舐めた口をきいたら「何だ、コイツ💢」とキレるだろう。
なので、俺は初対面の人間には、もちろん礼儀正しくする。
で、どんな人間性かを見る。
見た上で、尊敬するかどうか決める。
盲目的に従うのは違うと思うからだ。
特にあの社長のように挨拶されて喜んだり、「挨拶しとけば」というオバサンのようにはならない。
…というような事を派遣会社の担当者に言ったら、「…あなたは中学生ですか?」と呆れられた。