プロレスラー、武藤敬司は間違いなく天才だ。
プロレスセンス、タイミング、技の連携…、全てにおいて、最高峰の力を持っている。
プロレスラーとしての、発想力は抜群だ。
たまにテレビのバラエティーで観るが、それなりに対応している。
武藤はタレントとして、テレビが求める事を分かっている。
間違いないと思う。
“10・9”で武藤が高田にドラゴンスクリューから、足4の字固めを繰り出した時、俺は驚いた👀‼️
まさか、こんな他団体対抗戦で『ドラスク→足4』などという“クラシカル”なプロレス技を出すとは思わなかったからだ。
この瞬間、俺はこの『新日本vsUWF団体対抗戦』が“プロレス”だと分かった。
そして、そんな技を使う武藤啓司というレスラーを『凄い!』と思った。
こんな発想をする武藤は天才である。
三銃士(橋本、武藤、蝶野)の内、武藤は比較的、“現場監督”長州力に近かったレスラーである。
(三銃士と長州の関係)
橋本→嫌悪
蝶野→遠慮&距離
武藤→同調?
…と言っても、長州に従っていたわけではない。橋本(真也)のように嫌っていたわけではなく、また蝶野(正洋)のように距離をとってもいない。
二人に比べ、“まあまあ”というくらいの感覚で従っていた。
長州と武藤。
この二人には微妙たが、共通する部分がある。
互いに『プロレスが己の“居場所”』と割り切っている点である。
武藤は、猪木が“復権”後、“総合格闘技”に傾く新日本プロレスを“見切って”、全日本プロレスに移籍したのだ。
『俺のキャリアがひっくり返し返されちゃう…』と武藤は自叙伝で書いている。
総合格闘技が嫌いなのだ。
そこに、“入ってしまう”と、自分が自分で無くなることが分かっている。
長州も真剣勝負(っぽい)UWFを「所詮、“こっち側”だろ?」と嫌悪しながら、自身は真剣勝負の総合格闘技をする事は決してなかった。
それをすると、自分が保てなくなると、分かっているのだ。
二人とも分かっていたのは、自らが『プロレスでしか“輝けない”』という事だ。
プロレスをする事が自身の“存在証明”であり、自身の“利益”になると理解している。
だから、絶対に“プロレス”から出ない。
あくまでも、プロレスにこだわる。プロレスを続ける。
猪木の示した格闘技志向のプロレスは否定したいのだ。
では、新日本から出た武藤は“輝いた”か?
残念ながら、そうとはならなかった。
武藤が社長になった全日本プロレスは、なかなか浮上せず、ゴタゴタが続いた。
(プロレス学校、とかやっていたなぁ。…迷走)
資金が苦しくなり、例の“白石騒動”を起こし、全日本を離れることになった。(WRESTLE-1)
そのWRESTLE-1(レックスワン)も安定しているとは言い難い。
武藤敬司は間違いなく天才だ。
レックスリングセンス、発想力、展開力…。
全てにおいて、プロレスラーとしてトップランクだろう。
その証拠が、“トラスク→4の字”であり、Gムタであり、“シャイニング・ウィザード”(閃光魔術)だ。
武藤は天才だ。自分を“光らせる”天才だ。
だか、他人を光らせるのが、凄く苦手だ。
孤高…ではない。
新日本離脱、全日本利益の際も、多くの仲間を引き連れて出た。
だが、その後、武藤に“連れられた”人間は輝かない。
でも、皆、武藤を慕う。
天才だから、皆が従いたがる。
そして、近付くが“輝かない”
武藤の“信者”は多いのだが、信者は幸せにならない。
だが、だれもが武藤を信じたがる。
華やかで、プロレスに拘り、プロレスで輝いている武藤を信じる。
武藤に責任は無い。
武藤は最高のプロレスを観客に見せているだけだ。
それに周りが勝手に“信じている”だけだ。
だが、信じたくなる気持ちはわかる。
武藤は輝いている。だから、自身も輝けると“信じる”。
一緒にいたら、儲かる、目立つ、楽しい…。
そんな“思い込み”をしたがる。
だが、輝かない。
武藤は自身しか輝かせられない。
武藤以外にも、こんな人間はいる。
“自分しか輝かせられない人間”
何となく楽しそうな人。
優しそうな人。
分かり合えそう人。
それは、そう信じたい“信者”の幻想に過ぎない。
輝くのは、自分自身の力でしかないのだ。
近付くと、“輝けない”。✨
見ていると、輝きそうなのだが…。
武藤は、輝くのか?
…それは分からない。武藤は最近出た自叙伝で『まだまだ現役を続ける』と言っていた。
得意技のムーサルトが出せなくなっても、プロレスを続けるらしい。
武藤は天才だ。
天才だから、ムーサルトが使えなくなっても、やはり天才なのだろう。
輝きそうだ。
だが、覚えておかなくてはならない。
“輝く”のは、誰かによって、ではなく自分から輝かなければならない。