大学時代の友人に“ドラ川”(あだ名)という男がいた。
バイトがかなり忙しいようで、しょっちゅう昼寝をしていた。
昼間は仕事、夕方~深夜はバイトをしていてほとんど寝る暇が無かったようだ。
なので、よく寝ていた。
そしてよく俺たち友人に、「キツい💦」「辛い💦」と愚痴っていた。
「…社員が“出来ない奴”でさー、俺が働かないと店が回んないだよ💦」
「…昨日もさー、社員の奴を説教してよー」
「今日も寝てないよー💧💧💧」
そんなドラ川に俺は「そんなにどーしょうもない職場なら辞めたらどうだ?」と何回か提言した。
すると、彼は「…あのバイト先、俺がいないとダメなんだよー」と言った。
俺は呆れた⤵️
ドラ川はバイトを辞める気持ちなどサラサラ無かったのだ。
むしろ、このキツい(?)バイトを“楽しんで♥️”いたのだ。
『深夜まで“働いてしまう”、俺(ドラ川)』
『バイトにも関わらず、社員に“説教してしまう”、俺』
『辞めたくても、辞めたら、“現場が回らないから頑張って働く”、俺』
軽い“ナルシスト”な感情もあり、「キツい💦」「辛い💦」と言いながら、働いていたのだ。
ドラ川が欲しかったのは、「お前、大変だなー」という称賛と感嘆、同情の声だったのだ。
俺は、そんなドラ川に呆れながら、違う同情をしていた。
(…コイツ、ここまで誉めらたいのか?)
そういう気持ちが俺も分からぬわけでは無かった。
誰かに「お前、頑張ってんなー」なんて言われたいのた。
俺もそうだ。
だが、アピールするようなマネは出来ない。
ドラ川は、それを“バイト”でしていたのだ。
俺からすると、そのドラ川は非常に真面目で、仲間思いであり、素直な人物だ。
そんなドラ川が、誉めらたくてバイトの愚痴を吐く…。
称賛は人間を変えてしまう。
誰かに評価されたくなると、そんな事をしてしまう。
「忙しい」「キツい」「辛い💦」と言いながら、そんな自分を他人に見せて、称賛を欲している。
俺の言う『嫌なら辞める』が正しい考えならば、『本当は楽しくないが、誉めらたいから続ける』もアリだろう。(恥ずかしいけど。)
そこまでして称賛が欲しいのか。
いや、欲しいのだろう。
他人からの「お前、頑張ってんなー」が欲しいのだ。
実際、俺も称賛は欲しい。誉めて欲しい。
だが、それを露骨に欲しがるのは恥ずかしい。
だから、ドラ川がうたた寝😪💤💤するのを見て、なんとも言えない気分になっていた。
何故なら、ドラ川が寝ずにバイトしているのは事実だからだ。
よく昼間に寝ているのを見た。
ドラ川は一体何の為に働いていたのか?
お金💴だけではなく、自分が“気持ち良く”なりたい為に、ボロボロになりながら働いていたのだ。
その気持ちが分かるだけに、何とも複雑だった。
ドラ川からしたら、自分の体調や睡眠、収入より、誰かからの“称賛”なのだろう。
人は誉められたいと、自分を“殺して”しまう…。