長時間勤務、残業代ゼロ、名ばかり管理職、パワハラ…と、まさに"ブラック"を越えて、"暗黒"企業だった俺の会社だったが、何故か、そんな会社にも関わらず頑張って働く人はいた。
人の出入りが激しい会社ではあったが、頑張る社員は結構いた。
俺は1年半で辞めてしまったが、これは同期の中でも長く"耐えた"方である。
同期はバンバン辞めて行ったなぁ。
…まあ、俺たちの入社は株式上場を見越しての『形式』だけの『大卒募集』であった匂いがしていた。
……俺たちの後の大卒入社はいない。
と、言うか、募集すらしていない。
人間も猛烈に"消耗"する会社だった。
何故、そんな会社に長く留まる人間がいて、会社側は猛烈に消耗させるのか?
そこには貫かれた1つの"理論"がある。
それは、
『お客様第一主義』
という、悪しき考えである。
『利益(お金)が欲しい』
↓
『それをもたらしてくれるのは、お客様』
↓
『お客様に尽くす事が利益(お金)を得る方法である』
↓
『だから、お客様の為に働かなければならない』
↓
『ならば、24時間、常にお客様の事を考えるべき』
↓
『いかに残業しようが、いかに休みが無くなろうが、"お客様の為"ならば仕方ない』
…こんな理論が成り立つ。
これは100%正しい。
販売という仕事をする以上、お客は"絶対的な利益提供者"である。
『お客なんて知るか!』などという販売店など利益はもたらされず、繁栄は無い。当然
利益(お金)を得たいのなら、お客様を大切にする。
だから働く。何時間残業しようが、休みが潰れようが働く。
それがお客様の為であり、利益(お金)を得る方法である。
それは完全に正しい。
…と俺も、偉そうな事を言いながら、クライアントにはペコペコしたり、頼みこんだりして、仕事を得ている。
……利益(お金)が欲しいからだ。
そして、
この『お客様第一主義』の元、多くの社員が消耗され、排斥され、使い捨てられていった。
『利益を得る為』『お金の為』という言葉の前では個人の考えや体調など悉く無視される。
この感覚が今の俺にはまだ残っていて、時々
「…忙しくて寝てないよー」とか、
「…休みがないよー」
という愚痴を吐くバカを見ると、頭に来る。
寝たいのであれば、勝手に寝ろや。
休みたいのならば、勝手に休め。
だが、利益(お金)はその分、得られない。その覚悟があるなら好きにすれば良いのだ。
お金を得る為には、全てが仕方ないのだ。泣き言は寝て吐け!
完全に"ブラック企業"の論理だ。それが退社してもう数十年経つ俺に、今も残っている。
幸せの価値は人により違う。
だが、1番分かりやすい"価値観"はお金だ。
金があれば、それなりに幸せな生活が送れる。
『利益(お金)を得る為』という理論に逆らえる"社会人"はなかなかいない。
それは、"社会人"が社会にいる理由が『利益(お金)を得る為』だからである。
そこを"ブラック企業"や、"他人を支配したい"人間が突く。
『金が欲しけりゃ、言うことを聞け!』となる。
金で他人を縛る。縛り付けて、自分の"仲間"に引き入れる。
その仲間と利益を享受して、仲間であり、利益(お金)を得たいのであるから、それに伴う理不尽は受け止めなければ、ならない。
だって、お金が欲しいから。
プロレスも同じだ。
プロレスラーが何故、リング上で殴り殴られ、叩き付け、叩きつけられるのか?
それは観客の興奮を得る為である。
興奮した観客がチケット🎫を購入し、次の興行に来て、またチケット🎫を購入したら、レスラーは儲かる。
だから、レスラーは本当は負けるはずの無い相手に負け、避ける事ができる蹴りを食らい、痛くもない絞め技に呻き、反則技を受け、観客や相手に悪態を付ける。
人はお金の為なら、ある程度の理不尽を受け入れてしまう。
だから、"ブラック企業"や"自己ユーティリティの高い人間"は、『利益(お金)なんかいらない』という人間が苦手だ。
お金でその人を縛れないからだ。
そう言われたら、相手を規制する術を知らない。
従わせられない人間に、決して近付かない。"仲間"に入れない。
だから、"小さなグループ"を作るのだ。
自分の意志が最優先され、利益を享受し易い人間だけを、"仲間"にする。
そうして、他人を支配し、自分の自由を謳歌する。
愚かであり、狡猾である。
そんな会社、人間を後押ししているのが、『お客様第一主義』である。
この考えに逆らえない限り、人は"ブラック会社"や"小さなグループの王様"の奴隷である。
だから、『お客様第一主義』を捨てよう。
1番大事なのは、あなたや俺の人生だ。
他人ではない。
他人に消耗される人生に意味があるか?
お金が欲しい?
そりゃ、欲しい。俺も欲しい(笑)。
だが、金は常に『優先順位』の"2位"だ。
クライアントとの交渉の際、必ず金銭的な事を持ちかけてくるバカな奴がいる。
その奥には、(どーせ金だろ? お前は金でどうとにもなるんだろ?)という嘲りを感じる。
なので、俺はそうしたクライアントの依頼はいくら高いギャラだろうが、断っている。もしくは、『俺は勝手にやりますよ』と宣言している。
そうすると、相手は『コイツ、金ではどうにか出来ないのか…』と諦める。
その程度の人間である。
(馬鹿馬鹿しい)
利益(お金)から開放されると、貧乏ではあるが、自由だ。
金で縛られ、金を求めて働くことを否定したら人生はそれなりに楽しい。
生きるには、確かに金が必要だ。
俺も金が欲しい。病院での定期検診代が無いと脳腫瘍検査が出来ない(笑)。
しかし、誰かの意図に従うくらいなら、貧乏で構わない。
ん?
もし、金が必要になったら?
そうしたら、サミング(目潰し)だよ。
"奥の手"を出すしかないな…。
意地を曲げるしかない。
だが、俺は誰かの"利益(金)"には従わないぞ。
『うるせぇ、馬鹿野郎!』だ。