鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録⑨ “ゴリさん”と“小峠さん”

普段よく派遣される現場が同じだと、派遣同士が顔を合わすことも多くなり、顔見知りが増える。

この時期(2005年夏以降)、俺にもそんな“派遣仲間”が増えてきた。


倉庫作業などでよく顔を合わせるようになった派遣に、“ゴリさん”と俺が勝手に名付けていた男がいた。

風貌がまさにゴリラ🦍で、それで俺は密かに『ゴリさん』と呼んでいた。


ゴリさんは恰幅が良く、いつも堂々としていて、どんな現場でもリーダーのように振る舞っていた。


俺はよく倉庫作業で一緒になったが、他には事務所移転サッカー場警備などの現場で共に働いた。

偉そうな態度で何度か口論したりしたが、話すうちに仲良くなった。

昼食を一緒に食べたりもした。


しかし、そんなゴリさんは俺がよくしていた別の派遣現場である宅配ピザ🍕寿司🍣スーパーの品出し📦️では見たことがなかった。

どうもゴリさんは力仕事(の軽作業)系派遣しか“請け負わない”(依頼を受けない)と決めているようだったのだ。


その事について、ゴリさんと話したことはなかったが、俺は宅配系の現場で彼を見たことがなかった事が不思議だった。

ゴリさんならしそうな雰囲気があったからだ。

 

でも、やらない。

 

 

逆に、宅配系でしか顔を会わせない人間もいた。

“小峠”(仮名)さん👨‍🦲、という男だった。

 

スキンヘッドで、あの人気芸人のバイキング・小峠に似ていたので、そう仮名しておく。(何て日だ!)


彼はゴリさんとは逆に、宅配(運転系)の派遣現場でしか見たこと事がなかった。


宅配ピザ🍕、寿司🍣の店で度々顔を合わせ、いろいろ話すようになった。

俺は、小峠さんに「何故、“運び屋系”(運転)の仕事しかしていないんすか?」と尋ねた事があった。


その理由は、「だって、モノ運ぶ系(運転)って、自分のペースで働けるじゃん? それがいいんだよ、俺」という事だった。


俺は、その言葉には少し納得が出来た。

確かに運転(車やバイク)をして“運ぶ”種類の派遣仕事は、派遣先の人間が“同乗”などしない限り、自分のペースで働ける。(ノロノロはできないが…)


日雇い派遣の人間などは、基本、その現場では人間以下のような扱いを受ける。

それは仕方ないにしても、日雇いで働く側も、他人から指図されて働くのが嫌だったりする。

俺も好きじゃない。

 

それは今もだ。

バイトの現場で小うるさい正社員(吉井BBA?)などを内心『社員だからと言って偉そうにしやがって💢…』と思っている。

俺は(も)あれこれの指図されるのが好きではない。

 

だが、日雇い派遣などで働くのは、何かしらの“指図を受ける”事を甘受しなければならない。


小峠さんはそれが嫌で、“あえて”運転系の派遣仕事ばかりやっているらしい。


…というか、運転系の派遣もそれなりに指図されると思うのだが、小峠さんは以前、運転以外の派遣を請け負い、何か“嫌な事”があった、と思われる。そんな事を匂わせていたし…。

 


逆に、ゴリさんは運転系の派遣現場で何かしら嫌な思い出があったのだろう。

(もしくは免許がなかったか?)


俺は基本、どちらも請け負ったし、それ以外の派遣仕事もしていた。

 

だが、派遣の良いところは、この二人(ゴリさん&小峠さん)のように、こうして“仕事(現場)を選べる”ところにもある。


嫌な仕事は、基本しない。

嫌な奴のいる現場は拒否。

したい仕事“だけ”をする。


それが可能だ。(限界はあるが…)


日雇い派遣にはマイナス面が多い。

だが、良い部分もなくはない。


同じ日雇い派遣だが、ゴリさんは小峠さんを知らない。そして小峠さんはゴリさんを知らない。俺もそれぞれにそれぞれの話をした事はない。

それが何だか、俺には面白く感じられていた。