鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録 47 夢を、“追う者”、“敗れた者”、“途中の者”

西区にある遊園地(…あそこしかないが)に派遣された時、一緒に働いた若者がいた。(アドベンチャーコースター係)

 

彼はいろいろと話しかけてきた。

その若者は飲食店経営に興味があり、「将来、店出したいんで、その為にこうして稼いでます」と朗らかに俺に教えてくれた。

いわゆる“夢を追う若者”だった。

以前書いた“バン子”(バンドやっている派遣会場のアルバイト)と同じだ。

たまにこうして働く者もいる。

 

…と、思えば?

 

次の日、俺はゴーカートの担当に回された。

そこには年配のおじさんがいて、昨日の若者のように話しかけてきた。

おじさんは“元”飲食店の経営者だった。

半年前に不況(リーマンショック?)で、店は閉店し、「生きる為に働いてんだ…」と聞いてもないのに、語った。

自分の店を閉めた話など止めたらいいのに、おじさんはあっけらかんと話して、少し寂しそうだった。

あんまり人の話を訊かない人だったが。

 

このおじさんは“夢に敗れた者”だった。

こうした“元”経営者の方も、たまにいた。

 

俺は別に夢追う若者をバカにしたり、敗れたおじさんを嘲笑いたいのでは無い。

むしろ羨ましくさえ思う。(嫌みじゃないよ)

 

俺には夢などなかった。

会社をクビになり、金が無いから日雇いをしていた。

それだけだった。

夢など追ってないし、そんなものにチャレンジしてないから、敗れても、勝ってもいない…。

あるとすれば、“安定した仕事”だった。

 

そんな俺に若者は眩しく、おじさんには人生の悲哀が見えた。それを羨ましいというのは違うかもしれないが、“何もしていない”、“する予定さえない”俺は、酷く悲しく思えた。

 

安定した収入💴が欲しい。

正社員で働きたい。

 

それは確かに重要だし、それを目指しても悪くない。

だが、そうではない“先”を追ったり、失敗した人生もまたあったのかもしれない。

 

だが、俺はどこかに就職したい、と思っていた。

俺は『夢の途中』だと思っていた。

就職したら、夢を見られる、と思っていた。