日雇い派遣をしていて感じたのは、『低くみられている』『区別して見られている』『差別』という事実だ。
ここで何度か書いた宅配寿司屋🍣の話。
何度も働いていた“とある”店舗”。
バイトとも仲良く話すようになり、俺は少し馴染んできた印象を得ていた。
だが、それは俺の思い込みだった。
ある夏祭りの夜🎇🎇🎇
俺はそのよく派遣されていた宅配寿司屋で忙しく配達をしていた。
そこは店長(社員)が一人。
残りは全員バイト。宅配要員は男性。内勤(つまり寿司作り)は女の子だけだった。その宅配要員が足らずに俺達日雇い(派遣)が使われていたのだ。
夏祭りの日、ということで店は注文が相次ぎ、“鉄火場”のような騒ぎだった。
“二軒持ち”(2軒連続宅配)など当たり前。“3軒持ち”で必死に宅配していた。
電話で注文を受けると、まず内勤の女の子らが寿司を作る。
その間に宅配役(俺達)は店の壁に貼られた巨大な住宅地図や備え置かれた地図で宅配先を確認する。
いつもなら、調べている間に寿司が出来上がり、余裕で宅配できるのだが、3軒連続となると、宅配地を調べ、さらにはなるべく近いお宅に絞り混んだりするので、なかなか時間がかかった。
調べているうちに内勤の女の子から「出来ましたー!」と言われ、慌てて宅配バイク(三輪バイク🛵)に寿司桶を積み込み、店を出る、という感じで忙しく働いていた。
俺は同僚の宅配バイトや内勤の女の子らとは、そこそこ連携しているつもりだった。
俺が3軒持ちで寿司桶を積み込もうとした時、ふと内容があっているか、気になった。
寿司桶やサイドメニューなどの準備は基本、内勤の女の子が用意し運ぶお宅ごとにケースに入れる。それを宅配側はそのまま積み込み、すぐ運ぶのみ、というのがその店のルールだった。
宅配側は、一応、確認をしないといけないのだが、それをしている間がその時はなかった。
だが、俺は3軒分の寿司桶を持ち上げたときに少し違和感を感じた。
(…ん? 軽くないか?)
伝票で見た内容からして、少し重さが足りない気がしたのだ。
思わず、ケースの中身を確認しようした瞬間、時折話す内勤の女の子のリーダー格の娘が「ごめんなさーい、派遣さーん…」と俺に声をかけた。
手にはサイドメニューのミニ鉄火丼を持っていた。
「これ、入れ忘れちゃった。ごめんなさいねー🙏」
そう言って、ミニ鉄火丼をケースに入れた。
俺はその時は内心で、(…おお、危ないな)と思い、そのリーダー格女の“気転”に感謝した。
メニューの“宅配ミス”などすると、時間の大幅ロスになるし、クレームの対象になるからだ。
危ないところで、耐えたように思えた。
…しかし、だ。
後から考えたら、どうもおかしい。
その店では宅配ケースへの“入れ忘れ”はほとんど起きたことが無い。
夏祭りで、店は大騒ぎだったが、それだからこそ、“入れ忘れ”にはかなり注意していて、内勤の女の子らはダブルチェックしていた。
その時、たまたま忘れていた?
少し感じにくかった。
俺はそれか、そのリーダー格の女からの「…アンタ、何か勘違いしてんでしょ?💢」という“牽制”に思えた。
区別?
差別?
派遣と非派遣には差があるのか?
俺はそれまで、そんな事を感じてはいなかった。日雇いは臨時雇い。派遣はバイトの延長線…という感じ。
まさか、後年には派遣が仕事のメインになるとは思っていない。
この出来事だけ見たら、内勤らが注意しているとはいえ、最終的な確認は宅配側(日雇い派遣)の責任。
それを考えると、リーダー格の女は、日雇いの俺にミスを“させて”、“追い込む”気持ちがあったのではないか?
そんな奴は、よくいたしな。
被害妄想にも思えたが、俺は忙しいときは毎週その宅配寿司屋に派遣されていたりして馴染んでいたように思えたし、そのリーダー格の女ともタメ口で話しかけていたりした。
それを彼女は、俺には言わなかったものの、馴れ馴れしく感じていたのか。
そんな感じも受けた。
彼女は日雇いと自分らを“区別”していたのでは?
今から思い出すと、その宅配寿司屋では、日雇いの俺に気軽に話しかけてくる人もいれば、冷たい人間もいた。
どこかで「アンタは日雇い派遣。私達の仲間じゃないでしょ?」と思われていたのでは?
彼女には、言われた気がした。
少ししょうがないな、とは思ったが、怒りと寂しいさが沸いていた。
これを境に俺はこの宅配寿司屋の日雇いから離れ出していくことになる。