大学四年の時にみっちーから連絡があり、少し近況を話したり、今後の自身の展望を語った。
その後に、みっちーはポツリと言った。
「…お前、変わったなぁ。昔は素直で良い奴だったのになぁ」
その発言が俺には分からなかった。
別に俺自身が"変わった"という意識が無かった。
地元を離れ、1人大阪で暮らす内に多少"世間"というものが分かってきたのかもしれなかった(この後、厭と言うほど分かるが…)。
みっちーは俺がそんな風になったのを悔やんでいるようだった。
何故?
そう思うと、みっちーの"考え"からして見えて来た事がある。
みっちーにとって、俺は弟同様、自分の"世界"の便利な住人だったのでは?
俺は"友達"と思っていたが、
みっちーからすれは、『自分が一番になる為の"装置"』くらいにしか見てなかったのでは?
だから、大阪に行って、自分の考えを持ち始めた俺に、"残念"感を抱いたのでは?
中学校の頃、使い走りをさせられる彼を見ても、俺は幻滅しなかった。
みっちーの事だ。
あんな立場に満足しているわけがなかった。
おそらく、また自分だけが勝つ"世界"をどこかに作っていて、どこかで威張っているに違いない、と思っていたからだ。
それはみっちーの"擬態"なのだ。
みっちーには、自分だけの"世界"がある。
そしてまた、俺もみっちーの"世界"の一部だったのだ。
大学の頃、たまに地元(浜北)に帰省してみっちーに会うと、まだ弟と遊んでいた。
今から思えば、みっちーは"ブレない"奴だった。
そんなみっちーと連絡を取ったのは、もう二年前だ。
その時、俺の病気の話や近況を少し話した。
その日から今日まで、みっちーから連絡はない。
彼の事だ。
俺の近況を聞いて、(…これは関わらない方が得だな)と思ったに違いない。
断っておくが、そんなみっちーに恨みや怒りは無い。
それもまた、彼らしいのだ。