鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

1/20 介護の代価

小室哲哉さんが看護婦(?)との不倫疑惑を報じられ、音楽活動からの引退を決めた。

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小室哲哉』と言えば、間違いなく一時代を築いたミュージシャン。90年代後半から2000年代始め、"TKサウンド"は世の中を席巻した。
俺もファンではなかったが、Trfとかよく聴いていたなぁ。
シングルCDランキングが:半分くらいTK関連、なんて事も。
そんな"カリスマ"が不倫疑惑で引退とはあまりに寂しい。

そんな彼の引退会見を見ながら、考えさせられる事があった。

小室氏が不倫(疑惑)した原因が、脳梗塞でリハビリ治療中の妻のKEIKO夫人の介護に『疲れてしまったから』だという。
そこに派遣された看護婦がおり、相談なんかをする内に"不倫疑惑"を持たれる関係になったらしい。

これにワイドショーのコメンテーターからは「それでも不倫は無いよ」とか「最低」なんて声が聞こえる。
確かに、介護に疲れたから不倫するなんて事はあり得ない。
妻が大事なら、余計に他の女性に目を向けるべきでは無い。

しかし…。

聞けば、KEIKOさんはリハビリ治療ながら、こちらの対応に子供のような反応しかできないらしい。
妻の介護を続けて、既に五年以上が経っている。

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考えてみる。

五年間、必死に支えている妻から得られる反応が『子供』のようなものだったら、あなたは耐えられるだろうか?

家族だから、妻だから、支えるのは当たり前。仕方ない。

不倫を肯定するわけじゃないが、小室氏の受けていたストレスは相当なものではなかったか?

頑張って世話しても「ありがとう」さえ言わない相手。
そこに悪感情や虚無感を感じないだろうか?

そんな時、妻の事情も自分の辛さもわかってくれる人間がいたら?

頼りたくなるし、逃げ込みたくなる。
氏は『介護疲れ』と言ったが、俺は『介護をする報酬』が欲しかったのではないかな、と思った。

人は"代価"を欲しがる。
『頑張ったから、これだけ恵まれる』
『想っているのだから、こんなに慕われる』
『こんなにサポートしているのだから、感謝される』

他人の為に、何がやったのだからその分だけ恵まれる。
そう思いたいのだ。
ところが肝心の相手は、わかっているのか、わからない反応しなしない。
頭にくるが、仕方ない。

そこに優しい異性がいたら…。

小室氏を批判する人間は、介護の大変さ、虚しさを感じた事がないのだろう。
丸1日、付きっ切りで介護して感謝されない日々。
それが五年…。

不倫はいけないが、氏が介護から離れる時間を欲しても仕方ない気がするのだ。
(甘い?)

脳腫瘍になって病院にいた頃、俺も似たようなもんだった、と思う。
意識はあるが、頭の中はぼっーとして、所在がわからない。言葉は不明瞭で、相槌でさえ曖昧。
この頃に世話になった医師、看護婦、リハビリの先生には頭が下がった。

見返りを求めず介護をすることは、かなりの苦痛だろう。

人は何かをしたら、必ず『代価』を欲しがる。
…物、金、『ありがとう』の感謝。
それがあるから耐えられる、というのはよくわかる。

氏が『疲れた』のは、介護に、ではなく、『介護しても反応してくれない妻』に、ではないか?


俺自身を省みたら、幸い、両親は健在で介護状態では無い。

だが、遅かれ早かれ、介護が必要になってくることは目に見えている。

俺が今のような、何の組織にも所属しない働き方をしている理由の半分はここにある。

金は無い。
会社勤めで朝早くから晩までガンガンと働きたい。
その方が収入は高くなる。

だが、しない。

例え、朝9時から夜17時までの仕事をしていても、両親どちらかの介護を始めたら、もうダメだ。退職するしかない。
そんな例を腐る程見てきた。

今のように時間に囚われない働き方をしていれば、両親が突然倒れても働ける。
そんな風に対応できるようにしてあるのだ。
普段は文句ばかりを並べ、「早く死んでくれや」などと怒鳴る俺だが、やはり両親を見捨てる事は出来ない。
今はまだ大丈夫だが、覚悟はしている。

だから、"フリー"を選んだ。
時間的な自由は確保できる。これがデカいのだ。

収入的にはかなり厳しい。
低い(未払いなんかも…)し、将来を考えると辛くなる。
だが、これしかないのだ。
(これが"フリー"な理由の全てではないが…)

『国が悪い』とは思わない。
"選択"の問題だと思う。介護の問題の多くは『収入が減る』『働きたくても働けない』にあると思う。
要介護人がいても稼げる環境はあるべきだ。
それを『公共機関』に求めたくなるのもわかる。

だが、それは自身が選び、判断し、我慢、妥協すれば可能な気もする。(今の俺のように)

だが、『代価』だけはどうしようも無い。
小室氏のように24時間、"付き添い"ながら生活する苦労は、どこかで『休息』が欲しくなる。

もしまた俺がまた脳腫瘍を再発し、このKEIKOのように介護を必要とする生活に入ったら…。

考えただけで、叫びたくなるほど怖い。

もう両親に迷惑かけたくない。
妻がいたら、小室氏のように不倫されても(疑惑)文句は言えない。

あの自分が自分ではなかったような日々。
あれをまた自分の家族に味会わせるなど、絶対に嫌だ。

妻には(いないけど…)俺など見捨て、ガンガン浮気して欲しい。
誰かの『足枷』になる人生など絶対に嫌だ。

どんなに俺の世話をしても、それにしても応えられない俺…。

絶対に嫌だ。貧乏でもバカでも良い。
俺は俺として生きていたい。
誰かにしっかり感謝できる俺でいたい。
誰かに怒る俺でもいたい。
誰かに"頼られる"俺でいたい。

小室氏が妻の介護に『疲れた』のが、近い未来の自分や家族のような気がした。

…その前に結婚しないとな。