鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

無所属少年⑧ "みっちー"の風

なぜ、俺は"無所属"になったのか?

それは近所の"ともサン"グループと仲違いしたからだ。
"缶けり"で仲間外れにされている気がして仕方が無かった(被害妄想?)。

きっかけはそうなんだが、結果、"無所属"は楽だった。
どのグループにも属さず、その日に誘った"友達"と、遊べる奴と遊ぶ。
それが、楽しかった。
楽だった。
友達に気を使うのも、使わせるのも嫌だった。

この時期に俺が遊んでいた友達は皆、俺に「遊ぼう」と誘ってきて、俺が断っても「あっそう。…またな」と、あまり俺に執着しなかった。

他の奴は違った。
俺が断ると、「何で?」と理由を訊きたがり、俺を"規制"したがった。

俺が誰と遊ぼうが、止めようが俺の勝手ではないか?

何故だろう?
何故、他人は俺の"勝手"を許してくれないのか?

俺が、誰とナニをしようが、一人でいようが自由だろ?
何故、俺の自由を認めてくれない?

俺は誰にも支配されない。
俺は誰かに"俺の自由"を阻害させられるのが大嫌いだ。

それは今でも変わらない。
やはり、誰にも俺を支配されたくない。
俺は俺だ。
誰かに、自由を奪われるくらいなら、独りが良い。

そんなきっかけは、俺の幼なじみ、"みっちー"が大きく関わっている。
みっちーは小学生ながら、自分の"位置"と仲間内での"評価"を分かっている奴だった。

前の日記にも書いたが、みっちーは、俺などが嫌々誘われた"遊び"を、完全に拒否していた。

凄い奴だった。

断れば、多少は人間関係に影響する。
俺でもそんな事を気にしていた。
だが、みっちーは全く気にしなかった。
誰に誘われても、自分が気に入らない誘いは断った。

みっちーはスポーツ系の"遊び"が大の苦手であり、そこで活躍できる可能性を抱かなかっただろう。
自分が活躍できる事しか、やらない。
自分が誰かの"下"になる事を許さなかった。

そんな彼に、何故俺は仲良くしていたのか?
彼は、俺にとって同級生ながら、"兄貴"のような奴だった。

こんな事があった。

小4の頃だ。
俺の小学校には不思議な校則があった。『小5になるまで学校外で自転車に乗ってはいけない』という校則だった。
たが、小3くらいになると、自転車にノリタクなる。遠出や遊び…、特に片田舎の俺の近所など自転車がないと行動範囲がかなり限られて来る。
だから、だろうか?
『小4は、自宅から半径10キロ以内なら自転車に乗っても良い』という暗黙の掟があった。

…今から考えたら、相当おかしな掟だ。
スマホの無い時代、どうやって『自宅から半径10キロ以内』と測るのか?

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だが、真面目な俺は律儀に自宅付近では自転車に乗り、自身で『10キロ越えた』と思ったら、自転車から降りて牽いて遊んでいた。

対して、みっちーはそんな掟など守る気が初めから無く、小3辺りからガンガン自転車を乗り回していた。

あれは小4の頃。
互いに"範囲外"で、二人で遊んでいた。
すると、たまたまクラスの女子に見つかった。
俺は自転車を降りて牽いていたが、みっちーは平然と乗り回していた。
当然、その女子はみっちーに、

「いけないんだぁ! 先生に言いつけてやる!」

と、息巻いた。
だが、みっちーは、

「あっそ」

と、"どこ吹く風"で受け流した。
女の子が去ってから、俺はみっちーに言った。
「みっちー、ヤバいんじゃねぇの?」

だが、みっちーはやはり、
「あん? 平気平気🎵」
と、気楽に捉えているようだった。

果たしてどうか?

翌日、朝のホームルーム後、みっちーは担任の先生に呼び出され、絞られた。
その女子は本当に言いつけたのだ。

説教から戻ってきたみっちーに俺は近付き、「だから、言ったじゃん」と声を掛けた。
これは明らかにみっちーのミス。
女子に見つかった時にすぐさま自転車から降りて、「乗って無いよ」と言い張れば良かったのだ。
しかし、みっちーは俺を見て、笑顔で言った。

「なっ…。こんなもんだよ」

みっちーは全く堪えていなかった。反省も無い。
『見つかっちゃった(笑)』とでもいう風な感じ。
大人を舐めている、としか言えないが、俺にはそれが凄い事に思えた。
小学生の頃、先生など"神"に近い存在であり、叱られたらかなり凹んだ。
みっちーは違っていた。
先生など気にしない。
『自分のしたいことをする』
その為の『目障りな障害』というくらいにしか思っていなかったようだ。

そこが俺には格好良かった。

友達からの誘いも、『自分が目立てないと察したら、参加しない』という姿勢も、とても俺には真似出来ない。

だから、俺はみっちーが好きだった。
慕っていたのだ。

また、みっちーはさらに他人とは少し違った。

小4の冬休み前。
先生がクラスの全員に言った。

「冬休み中、喫茶店などには行かないように…」

無理な話である。
今でこそ近所に喫茶店はちらほら出来てきたが、当時は近所に喫茶店などは無く、一番近い喫茶店浜北市役所の付近なあった『ラス〇ル』だけだった。
もちろん、行った事がある奴などいない。
…先生としては、『喫茶店のような場所に出入りして"おかしな連中"と関わり合いになるな』と言いたかったのだろう。

ただ、我々は小4である。喫茶店より駄菓子屋だろ?
みんな口々に「行ったことないよ、そんなとこ…」と言って笑った。

だが、いた。
クラスで1人だけ、喫茶店に行った事がある奴が。

みっちーである。
父に連れられ、何回かあるらしい。

俺は驚いた。
そして、みっちーをまた『凄いなあ』と思った。
俺達が行った事が無い喫茶店に出入りしている(そんな頻繁では無いようだったが…)みっちー。
格好良かった。
大人に思えた。同級生ながら、彼は俺の想像できない考えや、経験をしているように思えた。

まさに、『同い年の兄貴』だった。

続く。