鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録 39 日雇い派遣の人々① スガちゃんと杉

同じ日雇い仲間に菅谷(スガちゃん)という仲間がいた。二人ともかなり変わり者だった。

 

スガちゃんは自信家というか、ポジティブというか、目立ちたがりというか、面白かった。

 

病院の移転現場でトラックの誘導を、「出来る

出来る」と豪語して間違えたり、新品の床をいきなり傷付けてクビになったりしていた。

 

真新しい病院の移転作業で、重い手術台の移動を任されたスガちゃんは、社員から「絶対に引きずるなよ!」と言われたにも関わらず、思いっきり引きずってしまい、それを看護士に指摘されると「何か俺のパワーで動かしました!」と威張ったらしい。

誉められた、と勘違いしたのだ。

 

当然問題になり、派遣元のフルキャリア(仮名)から即時に連絡が入り、スガちゃんは現場を外されていた…。

 

そんな感じで、かなりクセのある奴だったが、俺は嫌いではなかった。

問題を起こさないと、楽しい人間だった。

 

 

そんなスガちゃんに似たような仲間に、という年下の日雇いがいた。凄まじい天然ボケの男だった。

 

.ある日、フルキャリア(仮名)のスタッフから「申し訳ないが、同じ現場の人間を乗せて、車で行ってくれないか?」とお願いされた。

基本、遠い現場はフルキャリアの社員などが自前の車などで送迎するのだが、その時は都合が悪く、俺に頼んできた。

元から車で向かうつもりだったので、俺は軽く了承し、数人の日雇い派遣の仲間を出勤途中で“拾う”事にした。

その中の一人が杉だった。

その日は何事も無く、現場に到着し、仕事が終わると俺は彼らを浜松駅近くで降ろした。

 

そして、後日。別の現場で一緒になった、その杉に言われた。

「鈴木さん、車くらい買ったらどうですか?、安いやつならいくらでもあるでしょ?」

と“上”から言ってきた。

俺は驚いた。

「杉ちゃん、少し前に“誰か”に車で送迎してもらわなかった?」と俺は笑いながら訊いた。

すると、彼は『あれ?』という顔をして、こう言い放った。

「鈴木さん、無免許で車を運転したらダメですよ」

 

…断っておくが、俺はちゃんと自動車運転免許を持っている。

現場送迎の時に運転していたのも俺の車だ。

 

俺は、普段は原付🛵で移動していて、雨の日や遠い現場だけ車を使っていた。

杉は、いつも原付🛵でやってくる俺を見て、(この人は車持ってないんだ)と思い込んでいたらしい。

 

一度送迎されているのに…。

 

で、それを思い出し、ひねり出した答えが『この人は無免許で車に乗っている』という信じられない事だった。

何で、そうなるんだよ💢?  

俺は笑うしかなく「そんなわけねぇーだろ?(笑)」と言っても、まだ杉は「いやー、無免許はいくらなんでも…」と言っていた。

とにかく思い込みが強いのだ。

 

その後、派遣現場を間違えて覚えて、都田の山の中を彷徨っていた事もあった。

 

この天然っぷりは好きになれなかったが、妙に人懐っこくて、俺達は仲良くしていた。

時々、上から話そうとしてして失敗するのだ。

 

この後も、ある日、いきなり俺に「という事で…」と謎の接続詞から始まるメールを誤って送ってきたりした。

「何の話?」と返したら、「あれ?、○○さんに送ったんすけど?」と不思議そうに返信してきたりした。

どこで間違ったんだ?

だが、“僕は間違ってないっす”という態度を取るのだ。

それが、何か笑えなかったなあ。

その他は良い奴だったけど。

 

俺は二人とも(しょうがねぇ奴らだなー)などと思って笑っていたが、今(2023年現在)から思えば俺の方がどうしようも無い。 

(…というか、この後からそうなる)