『イベント手伝い』にはコンサートなどもあった。
夏になると、有名ダンスグループのコンサート(袋井)や大規模フェス(嬬恋)などのスタッフをした。
2008年は野外コンサートが多かったかな?
夏場によくあるバイトだが、若い日雇いスタッフが多く、俺のような30のオジサンは場違いに感じられた。(俺の他にもいたが…)
こうしたコンサートに来ていたお客の様子は、皆、楽しそうで盛り上がっていた。
その姿を見ると、何ともやりきれない気持ちになった。
俺としては、夏になるまで日雇いなど続けるつもりはなかった。
さっさと就職先を決めて、そこでバリバリと働くつもりでいた。
それが、無職で、コンサートで準備や警備などしたくはなかった。
無職の“穴”にどっぷりとはまっていた。
リーマンショックの影響はまだ収まってなかった…。
環境のせいにだけしたくはなかったが、俺は全く未来が見えなかった💦
しかし、コンサートやフェスにきているお客は、皆は本当に楽しそうだった。
キラキラ✨していた。『夏、サイコー!』という感じ。悩みなど無さそうで羨ましかった。
舞台で踊り、歌い、演奏するアーティストに夢中だった。
よく考えてみたら、コンサートやフェスなどそんなものだが、こんな精神状態の時に日雇いで行くと、あまり良くない。
無用の苛立ちが沸いてくるのだ。
他人に“差別”されているような怒り💢
小馬鹿にされたような気分。
意味の無い苛立ちだった。
俺だけが、別に避けられているような、人とは違うエリアに「アンタは“あっち”」と“区別”された気がした。
それは、俺の僻みに過ぎないのだったが…。
そういう気分になる。
ダンスグループのコンサートのスタッフをしていた時のこと。
そのコンサートでは、客席に通路(花道?)が作られ、アーティストが客席に向かって走ったり、踊ったりした。
俺達日雇いスタッフは、実はその通報の中に待機させられた。
そして、花道(上)を誰がが通ると、表に出て、殺到する観客の警備をした。
ある時、俺達が飛び出ると、目の前で、若い女性らが大喧嘩していた。
かなりビビッたが、双方掴み合いの大喧嘩を展開。
「ズルい!💢」
「離せ!💢」
「私が先!💢」
俺を含めた数人の警備が引き離そうとしても、全く無理。
話を訊くと、アーティストが花道でギターのpick(?)を観客に投げ、それを取り合っていたのだ。
俺達はどうしようも出来ず、近くの社員スタッフに報告し、任せることにした。
その後、その取り合っていた女性二人は看護室(?)に連れていかれた。
どうなったか、分からない。
そして、俺達は社員スタッフから怒られた。
何でだよ💢
俺はあのアーティストのように“花道”にはもう戻れない気がした。
また、pickを取り合っていた女性らのように、夢中になる事もないような気もした。
どこまでも、花道の下で待機する日々が続きそうに思えた。
区別された境界線から抜け出せない気がしていた。
pickを泣けたアーティストも、それを奪いあったファンの女の子ら👧👧も、俺とは違う“向こう”側にいたような気がしていた。