鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

プロレス心理学23 マスク・ド・建前

以前、知り合いになった女性から気になる話を聞いたことがある。

その女性は市内にある会計事務所に勤めていた。
そこの所長(会計士)がなかなかワンマンな人間だったらしい。
ある日、その所長と仕事上の事で言い争いになった。"言い争い"と言ってもその女性が一方的にまくし立てたようだが…。

彼女も俺と同じ、他人に"うるせぇ、馬鹿野郎"と言ってしまう人種らしい。

その所長は彼女からの文句を聞き入れているかのような態度だったらしい。

言いたい事を吐き出し、彼女は通常業務に戻った。
事務所近くの金融機関に向かうため、一端事務所を出た。
すると、一緒に働くベテラン事務員の女から携帯に電話してきて、「すぐに戻りな!」と告げた。
慌てて戻った彼女にベテラン女性は教えてくれた。
その所長は、うわべでは"受け止めた"ような態度をとるものの、そうした自身への非難や文句を我慢できない質で、先程のように"攻撃"されたら、その人間がいない隙にその人間の車を傷付けたり、自転車をパンクさせて、知らぬ顔をするという、恐ろしく小さい"器"の人間だった。

言い争いにを聞いていたベテラン女性は、(…これは、やるな)と思っていたらしい。今までも所長はそんな"報復"を繰り返していたからだ。
なので、彼女が事務所を出た後、タバコを吸いにいくフリをして席を立った所長を見て、慌てて電話したのだった。

これを聞いたその女性は、またまたキレて次の日、わざと所長に口喧嘩をふっかけ、事務所を出た。
出たフリをして、本当は自分の車の陰に隠れていた。

果たして、所長はやってきた。
車に近付いた瞬間、彼女は車のドアを開けた。

女性「…あれ、所長? どうしたんですか?」
所長「○○さん!?」
女性「…何しようとしたんですか?」
所長「……」

所長の右手にはホッチキスがある。
おそらく根元の針を抜く部分で車を傷付けるつもりだったんだろう。

次の日、所長は彼女に解雇を言い渡した。
彼女から見て事務所の経営が行き詰まっているようには見えなかったが、解雇理由は『経費削減』だった。

彼女からしたら、もうこの事務所で働く気持ち無くなっていたので、その解雇を受け入れた。
俺と知り合った際は、デザイン事務所で働いていた。


この話のポイントは、その所長が表向きには、"受け入れた"的な態度を取りながら、その実、自分に逆らう人間に姑息な仕返しをしていた点だ。

俺自身、かなりの癇癪持ちであり、他人の行動に常にカチンと来ている。
だが、この所長と違うのは、頭に来たらその場で言ってしまう事だ。

俺も器の小さな人間である。
すぐに頭に来るし、わずかなことで怒鳴ったりする。
だから、器の大きいフリが出来ない。
すぐに怒鳴る。キレる。ゴネる。

しかし、この所長のように、自分の本音を言わず、器の大きな人間のフリをしている人間がいる。
…よく考えてみたら、俺もそうかも?

何故言えないのか?

それは、『自分はそれくらい事など気にしない』という、器の大きい人間と思われたいからだ。
まさか、自分の"手下"から『文句を言われたくらいで腹を立てたりしない』、と思われたいのだ。

この態度は、『建前』だ。
大器で、優しく、思いやりと人望がある。
そんな風に思われたい。
そう思われる行動を"見せて"おきたいのだ。

それは『建前』だ。
みんな」(俺もだが…)、社会では『建前』を示して社会を生きている。

建前はプロレスのマスクのような物だ。

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皆がそれぞれ『建前』を持ち、それを主張する事で、自分の正当性を誇る。

『家族の為』
『病気だから…』
『親孝行したい』

その"マスク"を被り続けている限り、自分はそういう人間(つまり、正しく、器量の大きな優しい人間)だと社会(世間)に主張できる。

その事実は、自分のことしか考えていない矮小な器量しか持たないのだが。

俺などもマスクを被ってはいるが、すぐにキレて素顔(本音)を晒してしまう。

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建前を元に生きて、その建前を理由に人を攻撃したり、攻撃されたりして、建前に右往左往する。

社会にいる誰もが、"マスク・ド・建前"である。

それが社会だ。
だから、社会=プロレスだ。

では、何故、人は社会に出ると建前を立てたがるのか?

例の所長が自分の"犯行"を見つけられそうになった際に吐いた言い訳は、

『オレは悪くない』
『オレはこんな事をする人間ではない』
『オレをここまで"追い込んだ"アンタ(その女性)が悪い』
『…オレは悪くは無い』

…だったらしい。

例の"パワハラ監督"たちと同じである。
自己弁護と責任転嫁しかない。

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人は自分が一番かわいい。
自分に従わない者は皆、"悪"である、という"性悪説"(部長)がある。

こんな奴が社会にはいる。
いや、俺もそうだし、これを読んでいるアンタもそうだ。

「オレはそんなに小さな器じゃない」?

ウソウソ(笑)。

『うるせぇ、馬鹿野郎!』と言いたい"素顔"がある限り、マスクを剥いだ先には他人を『自分に従わせたい』という気質と、『他人を受け入れられない』という小さな器量があるはずだ。

その度合いに差はあるだろうが、だれしもが、"マスク・ド・建前"なのである。

ならば、そんな奴に出会ってしまったのなら、どうすれば良いのか?
会社の上司が、同僚が、サークルの先輩が、仲間が、"所長"のような"マスクマン"だった場合、どうしたら良いのか?

前回のパワハラのかわしかたで、

パワハラしてくる奴は世間に引き釣り出せ!』

と書いたが、この場合は逆だ。

『その建前を建前の通用する中(グループ、組織)で、示してやれ!』

である。
建前を言うやつには、敢えて自分のワガママをぶつけろ!
事前に『こんな事、言われたら怒ります?』なんて言えたら最高だ。

他人の目を常に意識している人間は、他人から『器の小さな奴』と見られる事を凄く嫌う。
つまり、『こんな事を言い出す私を、器の大きなアナタは受け入れてくれるんでしょ?』と挑発するのだ。

自称『器の大きな』人間は、それを受け入れるしかない。
本心では、(なんでだ!💢)だろうが、そこは受け入れるしかないのだ。

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マスクマンは、マスクを剥ぎ取られる事を"嫌がる"。
"マスク・ド・建前"も建前である"自分の器の大きさ"を計られる事を嫌う。

そこを突いてやれ。
矮小な本心を晒してしまう危機を味あわせてやれ。

彼は必ず、器の大きいフリをする。
そういう自分に酔っている。
それは"自分幻想"だ。
そして、他人がそういう風に見てくれると、思い込んでいる。
"他人幻想"(ストレンジャー・フロージョン)だ。

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それを理由してやれ!