会社に保険証と退職届を出しに行った。
俺を採用した総務部長さんが出てきた。
今日は引き留めは無し。当たり前だ。俺はもう辞めることか決定的。
部長からは「お父さん大丈夫?」と尋ねられた。
親父は一度の検査入院では癌の種類が特定出来ず、来月も検査を継続する事になった。
「鈴木くんも、体調、気を付けてね」と言われた。
体調(病気)でバイトを断られた直後なので気持ちが揺れた。
こう言うことを言える部長は、良い人なのか?
いや、分からない。
心の中では、「このノロマがっ」と俺を罵っているのかも?
…とにかく、退職届は出した。
俺はこれで“しっかり”(?)とした無職だ。
威張ってはいられないが…。
最後に部長は今月分の給料の証明書を俺に渡した。
その場では見ないで、会社から離れた公園で開いてみた。
驚いた。
「高い」のだ。元々高めだったが、それに残業代やら休日出勤の手当てが付いて、存外に高い。こんなにもらって良いのか?
…普通なら喜ぶべきなのだが、俺は複雑な気分だった。
おそらくだが、俺の働きは、この金額の1/3が良いところだ。いや、もっと低いかも?
仕事は遅いし、ミスはするし、揉めるし…。
なのに、この額💴
これなんだよな。この厚待遇。この“プレッシャー”が俺をおかしくした原因の1つだ。
“安月給”は嫌だが、実力以上にもらうのはやはり違う気がする。この給料💴は俺の実力に見合っていない。
そして、これだけもらうなら、やはりそれに見合う働きや成果を出そうとする。
相当緊張したし、プレッシャーだった。
俺は悔しかった。
完全にプレッシャーに押し潰された。
この金額に怯えて、今まで派遣現場などでの勢いを完全に“殺された”気がする。
改めて分かった気がした。
存外な報酬は、人を壊す。
己に見合った金銭でないと、無理をしてしまう。
自己を失ってしまう。
俺は現場でもっと“わがまま”に働くべきだった。
それで給料💴が下げられたなら、それが俺の正当な評価だったのだ。
期待され(?)、高い給料💴をもらい、戸惑い、自分を見失っていた。
この前、「部署を変えるか?」などと言われたが、それはそれで、俺はおかしくなったのかも知れない。
高い給料は理想だ。嬉しい。
だが、評価は違う。
そのギャップを埋められなかったな。
どこで間違ったのだろう。
思っていない高額支給の証明書に、俺は公園のブランコで戸惑っていた。
…また泣けてきたよ💧