鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録 43 病院移転(苛立つ人々)

ある病院の移転作業に入った時の事だ

 

旧病棟から、新病棟に荷物を移す作業があり、日雇いは二人一組になり、カゴ台車を使い、社員(運送業者)の指示通りに運んでいた。

 

俺は初対面の日雇いと組んだ。

 

カゴ台車に荷物(段ボールなど)を積め、新病棟の指定された部屋に運ぶ。

間違ってはいけないし、慎重にやらなければならなかった。

新病棟には、エレベーターがあり、俺たち“引っ越し業者”に病院の医療関係者が使い、エレベーターホール前で“大渋滞”になった。

もちろん事前に社員から「慌てるな。病院関係者優先ね」と言われていた。

 

なので、俺たちはカゴ台車をエレベーターの前に置いて、待機する事が多かった。

仕方ないだろう。

 

だが、これに対し、俺と組んだ日雇いが苛立ちを爆発💥させていた。

 

「…いつも、ここで待ちだっ💢」

「また待ち💢」

「みんな、ここ使いすぎだよ💢」

 

病棟には三基のエレベーターがあったが、俺達が使えるのは、2つ。しかもそのうちの1つは運ぶ荷物が指定されていて、実質、一基しか使わせてもらえなかった。

それは事前に説明があり、社員も分かっている。

俺はそいつに「ま、我慢、我慢」とか「待とうぜ」と声をかけてなだめていた。

 

しかし、その日雇いは「遅くなるでしょ!💢」とか「俺、待つの嫌いなんすよ💢」と一人でキレていた。

 

確かに、移転作業はここで遅くなる。

だが、それは社員もみんなも折り込み済みだ。

慌てたり、怒り回っても、エレベーターは待つしかない。

 

派遣現場には、こうして怒る人間がよくいた。

社員らはいつもプリプリ💢っていたが、日雇い側にもこんな風に怒るバカがいた。

些細な事で怒り、それを周囲に愚痴ったりしていた。

 

ま、俺も小さな事でイライラしてしまう人間だが、どうしようも無いことには怒る気にはなれなかった。

 

この時も『エレベーター前で“詰まる”』というのは分かっていたし、社員らも認識している。

それでも「早くしろ!」などと言われたらカチン💢と来ただろうが、そこまでではない。

 

しかし、その日雇いは一人で「遅くなる💢」と怒っていた。

何故なのだろう。

どうして、派遣現場にはこんなに怒り回る人間が多いのか?

周囲に怒りを振り撒くのか?

 

俺もこの時期(2008年半ば)は、新しい仕事も見つからず、イライラはしていた。

正直に言えば、日雇いなどしたくなかった。

 

だが、それでも怒らなかったり、愚痴ったりしなかったのは、あの“クソ部長”を見ていたからだ。

 

自分ではどうしようもないことがあると、他人(立場の弱い者=俺など)に関係のないことで愚痴り、怒りを発散する“小さい人間”…。

 

ああなりたくはなかった。

 

“弱い者イジメ”は誰にでも出来る。

無遠慮に怒るのも、誰にでも出来る。

 

だから、俺はしたくなかった。

エレベーターが来なければ、待つしかない。

ただ、それだけだ。

 

この話には、さらに驚愕の続きがある…。