鈴木篠千の日記

2度目の移籍。浜松近郊でフリーライターしてます。①日記(普段の生活やテレビの話題と社会考察) ②プロレス心理学(とプロレス&格闘技の話) ③非居酒屋放浪記 ④派遣録(派遣していた&いる時や過去の話)

派遣録58 配送 中編(金曜日の悪魔)

その袋井の工場へ通勤し始め、俺はおかしな事を感じた。

 

まず、その工場は小さく、働いていたのは社長を含め、4人。

社長以外の三人は直接雇用のバイトだった。彼らが機械を動かし、大工場🏭️から依頼された素材を機械を使って製品化していた。

そして、俺がそれを大工場🏭️へ戻す(配送する)配送役という“流れ”だった。(合計5人の零細工場)

 

そして、何故か、俺だけが派遣だった。

普通、逆ではないか?

 

工場は内勤(機械オペレーター)を派遣を雇い、配送を直接雇用にした方が良いのではないか?(もしくは社長以外は派遣)

 

お世辞にも資金力💴のある会社(工場)には見えなかった。

もし生産量が減ったら、まずはオペレーターを“切りやすく”するため、派遣にしておいた方が良くないだろうか?、…と実際に不況(リーマンショック)で解雇されていた俺は思っていた。

 

その理由は金曜日に分かった。

それまで通り、朝に製品を大工場🏭️へ運ぶと、工場側の“荷受け”役の男性が、かなり厳しかった。(日により荷受け役は変わる)

 

ネチネチと小言を言ってくる頭にくる奴だった。

(ここは我慢したけど)

 

俺に対し、いきなり「昨日、アンタのところから戻ってきた品を機械に入れたら、不良になって作業が止まったよ💢」とクレームを入れ、怒ってきた。

 

俺は平謝りし、「社長に言って、別の部品をお持ちしますか?」と言った。

だが、荷受け役は「そういう事じゃないんだよ💢」と怒る。

(じゃ、どうしろと?)と内心イライラしたが我慢。

コイツは、俺はひたすら謝るが、「困るよ💢」と言うばかり。

 

俺は社長にその事を伝える約束をして、工場に戻った。そして、社長にその事を話した。

すると、社長はいつもの“ニヤニヤ笑い”で「あー、分かった、分かった。…次のところ(別の依頼先)に運んでー」と言うのみだった。

 

(良いのかな?)と思いつつ、急がなくてはならないので、俺は製品を積み込み、次の場所へ運んだ。

 

帰ってくると、社長が意外な話をした。

「あー、今、さっきの荷受けの人から電話があったぞ。『言い過ぎた、ごめんね』だってさ…」

俺は驚いた。とてもそんな雰囲気ではなかったからだ。

 

そして後から分かるのだが、この“金曜日”担当の荷受け役が、日雇い派遣を雇っている理由だった。

 

この荷受け役を工場の皆が嫌っていた。

特に社長。

毎回必ず、何かいちゃもんを付けてくるのだ。

誰も、その荷受け役と顔を会わせたくないので、この配送作業を嫌っていた。

日雇いが逃げたのも、これが理由のようだった。

 

社長の話はもちろん

せっかく契約した派遣の俺を“逃がしたく”なかったようだ。

 

馬鹿馬鹿しい話だ。

 

さらに社長は、「来週だけどなー…」と言い出した。

俺の契約は一週間であり、その日が最終日だった。

その事を言うと、「来週も来れば?」と俺に言い出した。

派遣会社(フルキャリ)からの約束で、契約期間などの話は派遣先と直接話せないことになっていた。

俺がそれを言うと、「何でだよ💢」と起こりだした。

なので俺は「そういう話なら、社長からフルキャリに話してくださいよ、決まりですから」と告げた。

 

ただ、俺としたら、翌週の予定はなかったので、続けても良かった。そのつもりになった。

 

だが、それは社長とフルキャリで話す事だ。

 

社長はまたニヤニヤと笑いながら、「君から話しといて」と言い出した。

(はあ?)と思いながら、俺は帰りにフルキャリに電話して、社長から来週の勤務の話をされた事を告げた。

すぐにフルキャリ側から社長に話が伝わり、その日の内に俺の翌週の継続勤務が決まった。 

フルキャリ側から「そういう話は、こちらがしますんで…」と注意された。当たり前だ。そういう約束だったから。

 

それにフルキャリと社長の間に俺が入るのは、かえって面倒だろう。

何で、こんなおかしな“一手間”を入れるのか、意味が分からなかったが、

 

これも後から分かるのだが、この社長、とにかく自分からは何もしないのだ。(…という出来ない?)

この話も社長からフルキャリに連絡したら、一回で決まる話だ。

だが、フルキャリと交渉(という程のものではないが…)が出来ない“腰抜け”社長は、それに俺を使ったのだ。

 

荷受け役に対する対応もそうだ。

確かに口うるさい奴だったが、あんなバカ、どこにでもいるし、接触時間は10分。

それくらい、我慢できなかっただろうか?

 

こんな風に次第に、このニヤニヤ社長の本性が見えてくる。《続く》