少し長くなる話だ。
とんでもない派遣先があった。
この頃(2008年の冬)、朝からフルキャリから連絡が入った。
「すぐに袋井の工場に行ってくれません?」とお願いされた。聞けば『その現場(工場)で、派遣した日雇いが急に現場から“逃げた”』という。
例の“早退おじさん”のように消える日雇いはたまにいた。
時間は午前11時。
フルキャリの事務員は「何時になっても良いから、早く! お願いします🙇♀️⤵️」と電話で懇願。
俺は夕方から、磐田の大型ショッピングモールでの派遣が予定されていた。「その前で良いから、働いていてくれ」と言った。
やけに焦っていた。
意味は分からなかったが、俺は了承し、すぐに袋井の現場(工場)に向かった。
そこは1号線バイパス沿いの小さな工場。
待っていたのは、ニヤニヤ笑うおじさん(社長)だった。
逃げた日雇いの事を怒られるかな?、と思ったが、社長は俺に「あー、来た来た。早く、これ持って行って 」と笑いながら言った。
ワゴン車が用意され、既に荷物(工場製品)が積まれ、後は車を運転するだけだった。
俺は地図をもらい、数キロ先の大型工場🏭️に向かった。
後から分かるのだが、俺が出てきた小さな工場は、この大型工場(県内有名メーカー)の“孫請”だった。
俺はワゴン車など運転するのは初めてだったが、とにかく工場🏭️に向かった。
搬入は問題なく終わり、俺はすぐに戻った。
その俺に、社長はまたニヤニヤと笑い、とくに怒りも誉めもしなかった。
もっと怒られたりすると覚悟していた。
すると、次の工場(子会社?)に別の製品を運んだ。
それは30分程で済んだ。
そこで俺は次の現場(磐田)に向かわないと間に合わないので、そこを辞した。
「…どうもすいませんでした」と俺が逃げた日雇いの事を謝ると、社長はまだニヤニヤしていただけだだった。
何か、変な感じがした。
次の日、フルキャリから、その袋井の工場への派遣を打診された。これも懇願のような感じだった。
少し遠いかったが、一週間の継続契約だという事でついつい約束してしまった。
派遣人数は俺一人。8:30~12:30の短時間で、先日の配送がメインだったが、交通費も出たので、俺は(自分のペースで働けそう)と思っていた。
で、またニヤニヤと笑う社長がいて、俺に「おー、来た来た。頼むよ(笑)」と言って、また笑った。
仕事は前の日に作ってあった製品を積み込み、“親”工場🏭️に配送する仕事だった。
それは1日で覚えられる仕事だった。
社長から煽られるたり、怒られることもなく、一週間働いたが、問題のない現場に思えた。
…だが。《続く》